短歌10首
爪を切る後ろ姿が愛しくて背中7回蹴ったらキレた
水槽のめだかに明日を占ってもらう私の泡沫の日々
助けての「たすけ」まで書いて力尽く窓打つ雨に耳を澄まして
舌先にキウイの味の歯磨き粉割れた鏡と拗ねた横顔
卵から生まれた熊の腕力で悪い夢引き裂けど真夜中
サイダーの蓋を捻ったときの音誰が一番強いか競う
神様を160円入れて買う自販機に100円飲み込まれ
三ヶ月前の甘みの強い日々おかげで今朝も止まらない下痢
トイレの戸開けて薄群青の朝窓の格子の向こうで嘲笑(わら)う
語り部は愛の在り処を日の出まで口にせずただ涙を見せた