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私は何色だったのだろう
もう思い出せない

ほんの少しの色数しか知らなかった私は
新しい色をたくさん教えてもらって
世の中には数え切れないほど
素敵な色があることを知った

未知の色に染まることが、嬉しくて楽しかった
言われるままに自分を染め
塗り重ね、厚く、厚く
それは層となって、私だった色を覆い隠していく

きれいな色だと思っていた
あなたに言われて塗ってみた
正しいと思って選んだ
望まない色に染まるしかないときもあった

長い年月が過ぎ
たくさんの色を纏ううちに
自分の色が、わからなくなった

ふと立ち止まり、確かめる

私って、こんな色だったっけ

私を染め上げたこの色は
一体誰の色なのだろう
私は、何色だったのだろう

丁寧に洗い流していく
時間をかけてゆっくりと
その先に現れた、私の色
そうだ
私って、こんな色だった

決して綺麗じゃないけど
私らしい色だね
本当はこの色に染まろうと思っていたんだったね
思い出したよ
もう、大丈夫

これからの私は
私の好きな色で
自分を染めていこう

君も
君の好きな色に染まってね
君のなりたい色に染まってね

誰に言われるではなく
君が選んだ色で

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