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#しあわせとは

図書館で本借りると強制的に2週間で読まなければってなってなんだかんだ読めるね。
読書感想文はたくさんある過去のものをさかのぼって載せるつもりです。

※物語の内容や結末に容赦なく触れてるのでご注意ください。


📚それを愛とは呼ばず / 桜木紫乃

久しぶりの桜木さん面白い上にすごく好きだった。女社長である章子を妻に持つ亮介、または10年売れようとがんばったけど無理だった美しい白川紗希。章子の事故をきっかけに亮介は会社を追われ、北海道にあるとてもリゾートとは呼べないまるで廃墟となったリゾートマンションを売ることになり、紗希と出会う。生死と幸せ、どんな気持ちを愛と呼ぶか、登場人物たちが新潟や北海道の曇天の空の下でもがき探すお話。
この空気の晴れなさすごく好き。終わりも答えがわかった!空は青いー。確かではないけどいつでも次の一歩は新しいーー。とかわけわからん終わりではない。疑問や割り切れなさを残したまま、落ち着かなく終わるところが大好き。愛や幸福とはこういうもので間違いないですなどと言葉で理論的に説明してるような小説ではない。個人的には小木田さん、春奈さんが出てきてからより面白くなってどんどん読んだ。フィクション色が強くなるけど、きれいな女の人がきれいなだけではない様子はやっぱりおもしろいので。


📚人間の幸福 / 宮本輝
杉の下マンションすぐそばに住む玉田麦子が殺されて、住人たちが疑われたり話したりなんやかんやするお話。
主人公はタイル会社の営業をする敏幸。タイトル通り、敏幸やその妻や51歳にして男を虜にする謎の魅力を持つ小野寺、飲み屋の女将チコ、友人の石鍋、特別ではない住人たちがそれぞれの立場の目線から、人間の幸福とは何かを考えたり感じたりしてる。敏幸の妻の須摩子は子供ができないけど安定した生活に満足し、30歳も年上の小野寺に人生を捧げる手嶋は誰がなんと言おうと幸せで、則子はただ寂しいだけで喫茶店で手首を切る。
(このへんの寂しい病気ってとこ90年代の小説なのに現代的だった)幸せはみんな同じものではないし形は変わっていくし気持ちはパタパタ姿を変えるし見方の問題だ(オビワン)という、普遍的な生活のお話であった。と思う。そこに帰結して良かったに尽きる。


2021/6/24 7冊

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