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たまに短歌 寒仕事
寒仕事甕に名残りの古味噌を
集めて愉し糀寄せ植え
かんしごと かめになごりの ふるみそを
あつめてたのし こうじよせうえ
毎年今時分に味噌を仕込む。味噌作りを始めた頃は、作った味噌が足りなくなって、翌年は仕込みの量を増やすなんてこともあったのだが、いつのまにか使いきれずに余るようになった。余る量はそれほどでもなかったのだが、ツレは味の加減で新たに出来上がったほうから使うことが多いので、古い味噌は甕の中でひたすら熟成が進む。熟せば味の個性がますます強くなるので、使う手がますます遠のく。そうして使い残した味噌が毎年少しずつ増えてきた。とうとう使い残しばかり詰めた甕が二つになってしまった。
たまっていく味噌を時々眺めるのは、それはそれとして楽しいことでもある。時間の経過とともに発酵が進み、味噌の色は濃さを増していく。仕込んだ年の違うものを重ねていくのだが、混ぜなくても色が同じになっていく。糀は生きものだ。一昨年の味噌にいる糀と、昨年の味噌の糀が、同じ器のなかで何事か語り合い、仕事の段取りを仕切り直したりしているのだろうか。
街で売っている味噌には「消費期限」が表示されているが、糀が元気でいる限り、味噌は当たり前に消費できる。糀は日本の国菌だ。日本の国民として、国菌の糀と仲良く暮らしていきたいものである。
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