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『水中の哲学者たち』永井玲衣/書評未満#2

春先ぐらいまで崇高とかいう高尚なことを考えていたのですが、最近はもっぱら身近な事ばかり考えてしまいます。日々の生活で手いっぱいです。


ふっと。力を抜いてみると、世間では未来や過去よりも今に集中すべきだなんて言説が聞こえてきます。日々の生活にいっぱいいっぱいな僕は今に向きあえているという点で、良き生き方なのかもしれません。


凋落しつつも未だに力を有する東京に住んでいると、自分の生活への肌触りが徐々に失われてしまっていると感じます。それは自分の生を自分が制御しているという感覚がないからでしょうか。


大きな流れの中で、自分の居場所(home)と呼ぶべき生活を守っていくか。それは大きな流れへの抵抗なのかもしれません。


水中にもぐる行為は、時間・空間的に現実と距離を取る行為であると解釈できます。抵抗するために、いちごミルクを飲みながら、「わからないね(笑)」なんて言い合いながら、水中にもぐる時間が僕らに必要かもしれない。僕らの持ち場(home)を守るために。


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