火星の別件逮捕
「まるで火星に来たようだ」火星に行った事ないのに、イメージだけで朝焼け空を見た男はつぶやく。
空は確かに火星だが視線を下に戻せば地球上の都市に過ぎないのだ。「火星に逃げられたら」男は無意識に犯罪を犯したようで現在逃亡中。バスや列車を乗り継ぎ遠く離れた街に来た。
まだ男が犯人と特定されていない。できるだけ遠くに逃げる。
ところが目の前に警官がいた。男は警官に気づかれないようにその場をやり過ごそうとするが、「待て!」の声が聞こえる。男がビクつきながら渋々振り返った。だが別の女が警官ともみ合っている。「現行犯逮捕だ!」女は万引きをしたらしく現場を取り押さえられた。男はとりあえずその場から離れる。
その日泊まった宿でテレビを見た。先ほど逮捕された女は別件逮捕で指名手配犯である。さらに男が驚いたのは自分がやったと思っていた犯罪は女が起こしたもので、女は自供した。安心した男は窓を見ると火星のような夕空が見える。
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