「#旅のようなお出かけ」企画に参加してくれた、しまこねこさんの「波乗り遊びでショートトリップ」を読んだ感想。
どこにお出かけするのが良いのか。近場なのか遠くなのか? リアルなら予算や時間という制約がありますが、小説は空想世界。その気になればいくらでも遠くにトリップできます。
第15弾目のしまこねこさんの作品は、そんなお出かけでも遥か遠い場所がテーマ。太平洋を越えたその先に広がるアメリカ西海岸です。
1、あこがれのアメリカ西海岸で
舞台はアメリカ西海岸、東アジアや東南アジアといった比較的中短距離は、2010年代からのLCCの台頭以来、本当に気軽に行きやすくなりました。ところが、そんな時代でも長距離、たとえばヨーロッパとかアメリカとなるとまだまだ遠い存在のイメージがありです。
そんな遠い存在のひとつがアメリカ西海岸。ロサンゼルスそのものは都会のイメージが強いものの、実はいくつかのおしゃれなビーチがあります。そこには青空と青い海が待ってくれているかのよう。
ホームステイ先の家族と来たという日帰り旅行。若き主人公は、留学先での思い出話を聞くだけでもうらやましい展開です。
2、サーファーに混じって波乗り体験
ロサンゼルスのビーチは外洋つまり太平洋に面していますから、当然波も強いのが特徴。そんな波にチャレンジを求めるのがサーファーたちです。彼らは専用のボードを所持していて、絵にかいたような波乗りをやってのけます。
ビーチに遊びに来た主人公は、サーファーのようなボードは持っていません。そこで浮き輪を利用して波乗り体験。高波や津波といった災害をもたらすような波でなくとも、大きな波はそれなりの速度を持って岸を目指します。
なんとスリリングな展開。いつか本気でボードを買ってなどと考えたかもしれません。
3、大波がやって来た!がしかし
そして待ち構えていたのが大波です。しかしこの波は意外に早く、波乗り初心者の主人公には、ちょっと重たかったか?急流に巻き込まれてしまいました。完全に波の中に出来上がった渦の中に巻き込まれています。水流に自在に飲まれてしまい、方向感覚すらわからなくなり... ...。
それでも主人公はまだ冷静さを保っていました。いずれ収まるに違いないと。ところがそうではありません。泡が視界を遮ってしまい、水面の上がどこかわからないのです。「上に出れば、今の状況がつかめるはずだがこれは?」主人公は徐々に焦りを露わにします。
4、まさかの人生の終焉?そして意外なオチとは
えっ、マジ。まさかこれで私の人生。20年で終わるの。
まさかの人生の終焉。主人公はそんな恐怖を感じます。何しろ息が苦しくなり、耐えられなくなってきていたからです。人は死の直前にそれまでの思い出がフラッシュバックとして流れる。その言葉が脳裏に浮かぶと、本当に出てきました、あたかもフィルムのように。
絶対絶命。しかしここで最後の賭けに出る主人公。このに来て冷静さを取り戻せて泡の動きを見ます。水より軽い空気の塊である泡は必ず上方向。つまり海面から上に出るはずだと。
そして無事生還。でも実はその場所って... ...
5.もし私がこの小説書いたら?
そうですね。もしかしたら一緒にきているホームステイの家族を最初と最後に出すかもしれません。最初は波乗りをするようなことを彼らに伝えてチャレンジ開始。そして事故があり無事生還後、家族たちは心配そうに主人公に心配そうに近づく。もしくは、オチの状況からその光景を見て笑うか。そんなのを加えそうです。
で、後日談に書かれていたようなことを、彼らに言わせて注意促しても面白そうです。
まとめ
短めの小説ですが、短い中できっちり情景とストーリーそして見事なオチまで決まっていて無駄のないコンパクトな作品だと思いました。それにしても、西海岸で太平洋に直接面したビーチでの波乗り体験は憧れますね。
でもこのエピソードのようなことがある。だったらもし同様のことがあれば、まずは冷静になって泡の動く方を見よう。そんな教訓も入った作品。参考にもなりました。
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