戦争とはいったい何なのか-R帝国(中村 文則)を読んで考えたこと-
9月末に、ずっと行きたいと思っていた「原爆ドーム」と「広島平和記念資料館」を訪れた。
小さな頃から戦争に興味をもち、本・アニメ・映画・ドラマなど、多くの作品にふれてきた。
祖父は太平洋戦争中、海軍で水平さんだったそうだ。長崎に原爆が落ちたとき、佐世保にいたと母から聞いた。
そんな祖父は、生涯一度も私の前で戦争の話をすることはなかった。私も聞いてはいけない気がして自分から聞くことはないまま、数年前に祖父は帰らぬ人となった。
ロシアとウクライナの戦争は今も続いている。
何の前触れもなく突然戦争が始まったことに驚いたし、国際世論が許すはずがないからすぐに終わるだろうと考えた自分は甘すぎた。
戦争っていったいなんなんだ。
なぜ国民がこんなに苦しむのか。普通の日常が奪われるのか。大切な人と離れ離れになってしまうのか。
どうして戦争ははじまるんだろう。そしてどうしたら終わるんだろう。
原爆ドームやその周辺を歩いて知ったことがたくさんある。
原爆ドームは当時はおしゃれな建物で屋根が緑だったこと。
原爆ドーム近くにT字の橋があり、原爆投下の際の目印にされたこと。
日本人だけはなく、多くの外国人も被災したこと。
広島平和記念資料館は、日本人を探す方が難しいぐらい、外国人観光客が多かった。こんなにも多くの人が広島の地を訪れていることがとても嬉しい気持ちになった。
外国では、原爆に対して必要だったとする意見も多くあることも知っている。各国の教育や環境によって、いろんな見方はあり、正義は1つではない。
自分の正義を振りかざすのではなく、相手の正義を知ることを大切にしたい。そして、そんな人があふれる世界になったらいいなと思う。
広島平和記念資料館の展示は、覚悟していたけれども感情が揺さぶられた。怖い。恐い。苦しい。悲しい。痛い。寂しい。不安。疑問。怒り。諦め。
いろいろな感情が次々に押し寄せて心が入り乱れた。
どうしてこんなにも戦争は残酷なんだろう。
そして最後に残った想いは、
平和を大切にしたい。平和を願いたい。
それだけ。
広島から帰ってきて、積読から手に取ったのが、中村文則先生の著書「R帝国」。
最初から最後までひきこまれて一気に読んだ。
あぁ……戦争ってきっとこういうふうに始まってるんだろうなと、妙に納得感をもったというか、舞台裏を知った感じというか。
ロシアとウクライナの戦争報道で、無人ドローンのことをよく目にするが、まさにこの小説ではドローンが兵器となっている。
時代と共に兵器も変わってきたけれど、いつの時代も兵器は残酷でおぞましい。救いはないのだろうか。
R帝国では意志のある人たちは、弾圧され排除されていく。
違和感を覚えず、周りへの関心は薄く、疑問を抱かずなんとなく毎日を過ごす。そんな人が増えていくと、気づいた時には悲劇を繰り返してしまう……この本がそんな予言の書になることは絶対に避けてほしい。
広島旅行からR帝国の読了まで、私に取ってのこの体験は、自分の生き方や大切にしたい価値観を考えるきっかけになった。
最近は目の前のことばかりに集中して、自分の心をないがしろにしていたかもしれない。
自分の意思を大切にする。
自分の心に素直に向き合う。
いろんな価値観にふれる。
そんなことを心に留めて、本日は書き終えます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。