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想いを言葉して届ける勇気をもらえる小説「銀河ホテルの居候」シリーズの紹介

銀河ホテルに泊まって、手紙室のワークショップを受けたい!そんな想いがふつふつとわきあがる「銀河ホテルの居候」シリーズ。

軽井沢にある銀河ホテル。その一角にある手紙室では、自分の想いを大切な誰かに伝えるための手紙ワークショップがあります。
1000種類以上のインクから選んで、それぞれのお客さまがお手紙を書くのですが、それぞれのお客さまのストーリーにひきこまれました。

私自身、手紙を書くことも、ガラスペンをはじめとした文房具も大好きなので、とてもお気に入りの小説になりました。

時間が重い。ふとそう感じた。大きな柱時計がかっちかっちと音を立て、そのたびに少しずつ時間が上から落ちてくる。重さのある水滴のように。

本書より

もし今の日々に少し疲れを感じているならば、美味しい飲み物を飲みながら、この小説で現実から離れてみるのもいいのではないかと思います。

「銀河ホテルの居候」シリーズのあらすじ

銀河ホテルの居候」シリーズは現在2冊、出版されています。

「こんなホテル、あったらいいな」が詰まってます!

銀河ホテルの一角にある手紙室。
好きな色のインクで、思い思いの言葉を綴る。
その瞬間、あなたはほんとうの自分と出会う。

南軽井沢の銀河ホテル。
イギリス風の瀟洒な洋館の一角に、「手紙室」がある。
室長の苅部文彦は、このホテルに居候する風変わりな男。
彼の手紙ワークショップを受けると、なぜか心の奥のほんとうの気持ちが見えてくる。
娘家族と最後の思い出作りにやってきた老婦人、秘密を抱えたまま仲良し三人組で卒業旅行にきた女子大生――銀河ホテルを訪れたお客さんが、手紙を書くことで人生と向き合う感動作。

銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

続編はこちら。

銀河ホテルの手紙室に行けば、自分と向き合う勇気が出る!

銀河ホテルには、手紙室というすこし不思議な部屋がある。
亡き妻が遺した謎のメッセージに導かれ、思い出の軽井沢を訪れた夫。
趣味アカウントが炎上し、「好き」を奪われてしまったOL。

やってきたお客さんは、手紙を書くことで自分の隠れた本音を見つめる。
それは、色とりどりのインク瓶に囲まれながら、過去に思いを馳せ、未来を思い描く特別な時間。

魔法みたいに、晴れやかな気分になれる一冊!

銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように

「銀河ホテルの居候」シリーズのおすすめポイント

この作品が素敵だなと思ったポイントを3つ、紹介します。

1.銀河ホテルの佇まい

レンガ造りのイギリス風の建物。
無垢材を使用した内装に暖炉のあるラウンジ。
ロビーの深い紺色の壁。磨き上げられた木のカウンター。
客室は部屋ごとに壁の色が異なっており、庭には手入れの行き届いたイングリッシュガーデンがある。

こんな素敵なホテルがあったらぜひ泊まりたい!と思う描写で、フィクションなのがとても残念。

銀河ホテルでもっとも私が魅力的に感じたのは「蔵書室」。

おしゃれなカフェやホテルによくあるお飾りの本棚(棚の上の方にはいっている本はハリボテだったりすることもある)ではなく、天井に近いところまでぎっしりほんものの本が詰まっている。

本書より

こういう本棚にかこまれた生活がしたい。もし一軒家に住むことがあれば、絶対に書斎は欲しい。
こういった蔵書室や手紙室といったお部屋があるホテル、とっても素敵だなと思いました。

2.登場人物の人間模様

どの話に出てくる登場人物も、それぞれに抱えた事情があり、その人の人生の一部をのぞかせてもらっているような感覚になる。

娘家族に気遣う母親の気持ちも痛いほど伝わってきたし、同級生3人組で宿泊した女子大生の将来に対する不安もわかる。
奥さんの残した手紙の引換に来た旦那さんのお話では、奥さんの優しい想いを感じた。

手紙室の主、苅部さんはすごく不思議な存在。
男性なんだけど中性的な印象を受け、個性が強そうな反面、すごくサポート的でもある。相手に合わせたコミュニケーションは見習いたいことが多い。

ホテルスタッフの三枝さんもすごい。
お客さまのお名前を全部覚えている達人。
私は人の名前をすぐ忘れてしまうので、相手の名前を大切に扱う姿勢はすごく刺激をいただいた。

3.手紙室

なんといっても3つ目の魅力は「手紙室」。
1000色のインクがある部屋なんて想像しただけで胸がときめく。
私だったらインクの色を選ぶだけで1時間ぐらい使ってしまいそう…
作品内にも「インク沼」という表現が何度か登場したけれど、自分の想いを色で表現する描写がとても素敵だった。

また、手紙室には保管室もあり、届けることができない手紙は保管室で預かってもらうことができる。

外に吐き出すことのできない想いを文字にのせて書くことで、自分や相手の気持ちを客観的にみることができるようになり、新たな気づきにつながることがある。ジャーナリングなどはまさにそうだなと思う。

手紙室とは、目の前に集中できる環境を整えて、自分の心に向き合う機会を提供している。マインドフルネスともいえるのかもしれなし。

日々を忙しく生きる現代だからこそ、手紙室のようなサービスは求められるのではないかと、読みながらぼんやりと思った。

終わりに

この小説を読みながら、「ツバキ文具店」のことをなんとなく思い出した。

この小説は手紙の代筆をテーマにしたものだけど、気持ちを文字で相手に伝える、テキストコミュニケーションをテーマにした小説で、こちらも気持ちがじんわり温まる内容で私の大好きな作品です。
ツバキ文具店や小川糸さんの小説が好きな方は、きっと楽しめると思います。

「銀河ホテルの居候」シリーズ、ぜひこの先も続きの話が読みたいです。
そして銀河ホテルのようなホテルで、日頃の喧騒から離れて、ひとりゆっくりのんびり読書三昧したいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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