三千円の使いかた、と、もう別れてもいいですか
同世代の主婦の間で話題になっていた「もう別れてもいいですか」。
図書館予約本を入手したとき、「三千円…」のほうが目につき、文庫本で通勤途中にちょうど軽かったので先に読むことにした。すると、巻末の解説を書いているのは垣谷美雨さんではないか。なんだかシンクロ?数珠つなぎを感じてしまったわ。
※以下ネタバレを含みます
三千円の使い方
書き出しの二行に、やられた。
たしかに、自分自身の「三千円の使い方」を考えながら読み進んでしまう。
第一話の美帆、第三話はその姉の真帆、第五話は美帆の母・智子と御厨家に女たち三世代のお財布事情がリアルに描かれる。
もっとも気に入ったのは、冒頭「三千円の...」と言い放った祖母・琴子の第二話だ。70代にして働きたいとハローワークに通うなんて、人生をまだまだ楽しもうと奮闘する姿がいじらしく応援したくなる。
そして最後に、美帆は節約ブログにこう書くにのだった。
お金があるから幸福でもないし、お金が少ないから不幸とも言えない。
“お金の奴隷になってはいけない”
ウチの相方の口癖のこの言葉同様、この小説は金額に関わらずお金との向き合い方を示唆してくれ、苦しくとも希望のもてる一冊だった。
読後、2023年にドラマ化されていたと知った。共感できる原作だから群像劇として楽しめたはずだ。
もう別れてもいいですか
ミドル世代にとっては身近な、熟年夫婦あるあるネタがいっぱい、冒頭から230頁まで夫への不満が語られ、ずぅっと重かった。
女どうし集まると、とても嫌そうにダンナのことを話す主婦たち、日本の女性たちはこんなにも虐げられ見下されていたのか、と思うと嫌悪感がむくむく湧き出してくる。早くシンデクレタラええのに。どないしてダンナに仕返ししてやろうか。と彼女たちはしゃべる続けるが、行動は起こさない。だって
離婚したい。でもお金がない んだもの。
ところが、一度「離婚しよう」と覚悟が決まると、そこから澄子は強かった。
最終の30頁は弱気で自信なさげだった澄子が、もう一度自分らしく人生を再構築していく過程が描かれる。じめじめ陰湿な前半を吹き飛ばす明るい展開で、清々しくホッとした。
しかし、現実社会では、女性側が変わっても男性側が変わらないと、日本の未来は灰色のままだと思う。
例えば、”ドウシテ女性ノ天皇NGナノ? 先進国デショ“ ウチの相方にこう問われても、答えに窮してしまうのだ。
日本女性はこうあるべきという男性上位の世間に向かって、啖呵を切りたい。
アラ60女だけど...
何か、文句ある?
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