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『言語学バーリ・トゥード round1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』vs[タイム・スリップ芥川賞]

1.「意味と意図の違い」 ってうまく説明できないよね。

2.「文学と純文学の違い」ってどこから線引きされるの。

いきなりだが、noteを毎日書くぞ!と、4/1から意気込んだところ、本業お仕事以外に会計監査や元スタッフの激励@百貨店催事に出かけたり、インド映画見たり、失礼なyoutuberに絡まれたり、外出しまくり遊びまくってたら、口内炎が出来た。痛い。熱いもの辛いもの酸っぱいもの全部ダメ、これは寝不足が原因に違いない。寝不足とストレスは万病のもと、note毎日更新なんて絶対無理。と一週間連続投稿しか続かず、7日間であきらめた。早っ
そうして睡眠時間を確保したあとも、左上の唇が腫れがひどく1週間たってもまだ治らない、なんでやねん?! ひりひりする口中をじっくり鏡で点検すると、口内炎くん二つに増殖していた!痛たたた。
歌に例えるなら「アイ キャント ストップ  アルカー I can't stop ulcer ♪ ど~してな~の。ひりひりが止まらな~い。」なのだ。

本題にもどろう。
冒頭の疑問は、下記二冊を読めば理路整然とわかりスッキリするはず、なんてったって解説本ですから。そう思い、読み始めたが、読了した今でもちょっとあやふやな説明しかできない。ふんふんなるほどなぁ、読んでるうちは納得できたのに、ぱたんと本閉じると一切何にも覚えていない。ただただ面白かった、記憶しか残っていない。そんなゆる~い解説本について紹介する。

こなた、赤がド派手なイラスト情報多めの解説書。かたや、黄色が目に痛い芥川賞がタイトルについてる割には軽薄そうな一冊。まずは赤い方から。

バーリ・トゥード著者
『言語学・AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか』

翻訳:川添愛

と、まずプロレス素人の私は勝手に思い込んでいた。バーリさんはどちらの国出身かしら、と。全くの大誤解、原題を自分勝手に読み違え、本当は川添氏の著作だったのだ。

バーリ・トゥードとはプロレス業界用語で「なんでもあり」の意味らしい、よう知らんけど。百聞は一見(一読)に如かず。読むうちに、筆者のプロレス愛がじわじわラリアットをお見舞いされたように効いてきて、リング裏に倒れこみ笑い死にしそうであった。
例えばこうだ。

執事の写真を見た令嬢(予想):私の知人の川添さんは私がバーリ・トゥードを知ったことを知ったのだわ。でも川添さんは、私が執事の写真を見たことを知らないので、私がいまだに、『私がバーリ・トゥードを知っていることは、川添さんに知られてないはず』と思い込んでいると思っているのではないかしら」

注文が多めの謝罪文より

バーリ・トゥードについて説明がないまま、UP(東京大学の会報)連載は第三章に入り、某氏からクレームが入るのだが、バーリ・トゥードをネタに六頁もさきながら要約されるどころか、上記のように、えんえんと理解しづらい本文が続くのだ。もう、笑うしかない。
章末には、相手が知ってるはずのことを説明なしに話題にすることの「不親切or無配慮」について、ちゃあんと落とし込まれており、感服する。

第12章「ニセ英語の世界」も秀逸だ。
キャラを際立たせる英語的表現の例文を読み、ぷぷぷと吹きだした。いるいる、こーゆー業界人

イノベイティブなビジネスパーソンがドラスティックなソリューションをクリエイトしてクライアントのベネフィットにコミットしたり (中略)
そういう業界にいる,そういう人としてのキャラクター  

ニセ英語の世界(書き下ろし)

一方、外国語の映画タイトルを日本語にどう訳すかの考察、「アクション系はカタカナ」「ヒューマンドラマ系は日本語」の傾向におおむね同感だ。
そして、川添氏はニセ英語・邦題のオールタイムベストとして『マッドマックス』シリーズの「怒りのデス・ロード」を挙げている。
一方、私のオールタイムベストを選ぶなら:007シリーズの「Live or let die」の邦題「死ぬのは奴らだ」かな。生きるか死ぬか、を別角度からみて、奴らは死にゆきボンドは生き残る。すこぶるセンスの良いタイトルと思うがどうだろう。

とにもかくにも、面白おかしくて、言語学にもプロレス(!)にも造詣が深まる一冊、おすすめである。さらに、本文を彩るコジマ コウヨウさんのシュールなイラストも絶妙である。 ★★★★4/5

タイム・スリップ芥川賞


文豪たちのカップ焼そばで人気を博した、菊池良さん最新作。(写真:左側)

芥川賞の歴史を博士と少年が旅してめぐる物語。 ★★★3
芥川賞は、新人作家かつ芸術性の高い純文学が選考基準となり、1935年からほぼ80年という日本で最も古くからある文学賞だ。
第一回受賞者の石川達三の社会背景や、石原慎太郎の「太陽族」が闊歩した時代、大江健三郎の作品と人物像、ジャズと中上健次、池田満寿夫や村上龍のアート強めのやんちゃぶり等など、歴代の受賞者のコクある逸話が記されているが、女性の受賞者の逸話は少ない。時代を大きく変えた作家がいなかったが理由かもしれないが、ちょっと残念。
そして、芥川賞創設のきっかけとなった、芥川龍之介の自害と文藝春秋主宰の菊池寛の言葉に、やや驚いた。友人の死をこんなにも自分ごとに思えるひとがいるなんて。
雑読派の私は、あえて純文学を選ばずに、どちらかと言えば「直木賞」寄りの大衆小説を好んで読書をしてきたが、今年は芥川賞作家の本をぼちぼち読み始めてみようかと思う。教養は裏切らないのだから。

本題からそれるが、博士と少年の会話から成り立っているため、博士の顔イラスト、少年の顔イラストがいちいち描かれていて、子供っぽいのは否めない。ヘタウマの受賞作の表紙絵がのっているが、たぶん著者が描いたのだろう、ぜんぜん純文学してないところが、ポンコツめいて可笑しみがある。
昭和時代に”ヤングに人気”にだったホイチョイ・プロダクションを思い起こさせる。
バブル期時代、「ミーハーのための見栄講座」をみんな読んでたよなぁ、純文学とは真逆の本だったけど。

芥川賞受賞者リスト:参考


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