石川県小松市のGEMBAモノヅクリエキスポ2023に参加しました その2
小松市には白山山系大日山連峰の鈴鹿ヶ岳を源とした梯川が流れています。
このあと説明する二股製土所は、平成の名水百選に選ばれている仏大寺川のそばにあります。仏大寺川は梯川に合流します。
また、西出酒造も水が豊富な小松市にて自然の力で発酵させることを特徴としており、大自然が豊かな小松市だからこそ受け継がれた伝統文化です。
家族経営でこだわりの酒造りをする西出酒造
西出酒造は、大正2年創業で自然に共生した昔ながらの製法でお酒を作っています。
創業当時から小規模の造り酒屋、心を込めた酒作りは今でも変わりません。
完全に家族経営でこだわりをもって酒造りをしてきました。
一時は経営不振に陥りながらも家族全員で乗り越えてきたのです。お話をお伺いしていて、ご家族のアットホームな雰囲気と美味しいお酒を造りたいといった情熱が伝わりました。
今回の見学では見れなかったのですが、原材料にこだわっている様子をYouTubeで拝見できました。
このように一つひとつの工程に手間をかけて、美味しいお酒を提供したいといった気持ちが伝わります。
また、ジャパンファームが栽培している『藤子ばぁちゃんのまごころ米』や『酒米:五百万石・亀の尾』を使うことで酒造感謝祭を開催したり、職業体験をおこなったりするなどちいきの発展にも大いに貢献しています。
参考:山里清流米
このほかにも、海外でお酒を造る人達に向けてレクチャーをするなど西出酒造ではさまざまな取り組みをしています。
代表の話をお伺いしていて、お酒造りだけでなく西出酒造では地域やお酒造りに関わる人、また一般の人にも利き酒やカフェをオープンするなどを行っている感銘を受けました。
伝統を守ることだけでなく周りのことまで配慮をするからこそ、長く地域で愛されているのだなと思います。
西出酒造の主なお酒はこちら春心です。100年以上前の生酛製法によって真冬に醸造したお酒で、原料や環境を最大限に活かせることが特徴です。
西出酒造では、近年では金属製のタンクを使うことが多い中木桶を使っています。
大工の杉本さんが小豆島にて一から木桶の作り方を勉強したことによって実現しました。
「地元の米を使うだけでなく、地元の木樽を使ってお酒を造ることで小松市ならではのお酒を造りたい」と話していました。
また、木樽を使うことで火を使う必要がなく、SDGsの取り組みにも期待しているそうです。
日本酒造りにはホーロータンクが使われています。
タンクには、お酒の容量や検定日、番号などが書かれています。
私はほとんどお酒が飲めないので、お酒以外の話もさせてください。
酒粕を使ったチーズケーキと軟水を使ったコーヒーをいただきました。
奥は酒ケーキの様です。みなさんが利き酒をしている中、お酒をほとんど飲めない人でも楽しめるのは本当にありがたいです。
軟水は口あたりが柔らかいので、よりコーヒーの風味を感じられるように思います。
軟水でお酒を造るとなめらかな味になるようですが、お酒を飲めない人でも体感できるのが嬉しいですね。
酒粕チーズケーキはチーズと酒粕で濃厚です。これまでに味わったことがない味や食感などをぜひ堪能してください。
コーヒーやスイーツを楽しめる蔵Cafeぐるりは土曜日限定で楽しめます。お酒を飲めない人も必見です。
お土産もいろいろありましたよ。
きゃらぶきに梅しそ寒干し。
手作りのうり粕漬も美味しそうでした。
酒粕を堪能したい人におすすめですね。
西出酒造ではオンラインショップで購入できます。
なかなか小松市までいけない、でもお酒を堪能したいといった方ぜひご利用ください。
奥様が好きで飼い始めた猫ちゃんがモチーフのお酒もあります。
最初は「酒蔵に猫なんて・・・」と反対されたようですが、今では看板猫ちゃんですね。
ふたごの白猫、「もろ」と「みー」です。裏ラベルにはもろみーの話が書かれているそうです。
気になる方はぜひご購入ください。
お土産コーナーには、猫ちゃんのTシャツもありました。
西出酒造さんは、酒造りへの情熱、地元への愛着心、地域活性だけでなくどこか家に帰ったときのような安心感があります。
家族経営の強味であり、素敵な人柄がでていました。猫ちゃんグッズにも癒されますよ。
西出酒造基本情報
石川県小松市下粟津町ろ24番地
9:00~16:00
0761-44-8188
九谷焼に必要な粘土を製土する二股製土所
石川県の伝統文化である九谷焼ですが、作るためには粘土が必要です。どの粘土でもいいわけではなく、焼き上がりまで納得のできるような粘土が求められます。
二股製土所では、平成の名水百選に選ばれた仏大寺川といった立地条件を活かして次の工程で粘土を作っています。
採石
粉砕
水簸
脱水
土練
採石
まずは九谷原石を採石して集める工程です。貴重な天然資源であり、二股製土所では無駄なく利用します。
写真のようにごつごつした状態であることがわかります。
粉砕
いきなり岩を砕くのではなく、機械に石がくっつかないよう乾かすことが必要です。
石を乾かしたら次にローラークラッシャーや、ジョークラッシャーなどの機械を使って細かく粉砕します。
水簸
この水簸とよばれる工程が二股製土所のオリジナルである部分です。
かくはん機を使って、砂分を粘土分を分離させます。
粘土と砂の重さが違うことからできるのですが、ぜひみていただきたい工程です。
かくはん機の水車の部分がぐるぐる回ると、重い粘土の部分が水の中にたまっていきます。
脱水
ごみを取り除いた後、粘土に含まれている鉄分の除去が必要です。
そのあと、フィルタープレスにかけることで絞っていきます。
この工程は12時間以上かかります。
土練
最後に土練機を使って練り上げていきます。この工程で空気を抜くことで、質の高い粘土が完成です。
出来上がった粘土は、円柱の状態で依頼者に運ばれていきます。
びっくりしたのが、ここまでの工程を夫婦二人できりもりされていることです。
しかも、すべての工程が終わるまで約2週間かかるそうです。
そのため、工程が途中の状態で次の案件を受けることも多く同時にいろいろな工程の管理が必要とお伺いしました。
以前は今以上に力仕事であったそうですが、それでも重労働であると感じました。
それでもいい粘土を作りたいといった一心から手法をほとんど変えずに続けてきたそうです。
九谷焼を焼く担当者からの暑い信頼を寄せられているのも納得できます。
二股製土所基本情報
石川県小松市立明寺町イ128-2
9:00~18:00
0761-47-3123
まとめ
小松市には、九谷焼をはじめとしてさまざまな伝統文化があります。
しかし、この中の多くは知らなかったものばかりでした。
今回2日間と短い期間でしたが、小松市の素晴らしさ、皆様の取り組みなどに触れもっと詳しく知りたいと強く感じています。
私がびっくりしたのが、伝統文化を守る方々がみな気さくで丁寧に対応してくれたことです。
伝統文化を守ることや大自然、歴史など盛りだくさんな小松市ですが一番は皆様の人柄に惹かれたのだと思います。
この2日間で小松市の人々の暖かさをあらためて感じています。本当にありがとうございました。
小松市は2024年に新幹線が開通し、さらなる発展をすることだと思います。私もまた足を運ぼうと今から計画しています。