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旅のまにまに
【まにまに】
1 他人の意志や事態の成り行きに任せて行動するさま。ままに。まにま。「波の—漂う」
2 ある事柄が、他の事柄の進行とともに行われるさま。…につれて。…とともに。
山の峰が連なっていて、かすみがかっている。かすみと雲の切れ間は見えず、繋がっていて、上空は見渡す限りどこまでも湿度の高い光景が広がっている。大気は安定せず、小雨がしとしとと降り始めたり、止んだり、降ったりを繰り返し、落ち着かない様子を見せた。しかし、不快な気持ちにはならない。どこかそれを待ち望んでいるような自分もいる。雨で濡れた葉は瑞々しく、いきいきとしている。木でできた階段は丘の上にある猿倉山ビール醸造所へ続いており、私は山に気を取られて、湿った木面から足を滑らせないように注意を払った。のぼりきって背後を振り返ると、新潟の街の景色が私の目の前にあらわれた。
新潟に来たのだな、とあらためて思った。
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新潟は空が横に広く感じる。東京は縦長だが、新潟は横広がりだ。あわただしさや窮屈さはなく、ゆっくりと深呼吸をしていても、誰にも迷惑をかけない雰囲気を感じさせる。私は何度か深呼吸をした。ふと横を見ると、屋外のテラス席で数名の男女がビールの試飲をしていた。皆ゆるやかな表情を浮かべ、おつまみと会話を楽しんでいた。とても楽しそうだ。
私の目の前には4人の女性たちがいた。
彼女たちとは、ここで、ことばとことばのやり取りを経て、もう3年以上の付き合いになる。
日本昔ばなしの世界だ、と思った。
一寸法師やおむすびころりんみたいな世界の中に迷い込んでしまったのかもしれない。
くまが出てくるのは「金太郎」だったか。
幾度となく、私は「なぜここにいるのだろう」といった疑問が頭に浮かんできた。
それは、私がその時とても満たされていたからだろうなと今も思う。
まにまにだ。
気づいたら、ここにいた。
もちろん自分の意志をもって、私は人生の要所要所で選択をしているのだと思う。
でも、それ以上に何か見えない力が私の見えないところで静かに働いているような気持ちを感じることがある。
ご縁だと思っている。
繰り返すが、noteを始めた頃はnoteに書かれた文字の向こう側の人とお会いするなんて、想像もしていなかった。
でも、少しずつ少しずつ重ねた想いやことばが、今、この旅と、この目の前のみんなの笑顔や涙に辿り着いたのだなと思うと感慨深いものがある。
先日、新潟旅行に出かけた。
noteで出会った関東住まいのかすみさん、あやしもさんと共に、新潟にお住まいのおだんごさん、バクゼンさんに会いに行ったのだ。
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新潟は空気が澄んでいた。
写真は2日目の「魚沼の里」の写真だ。
天候が悪かったせいもあるが、そうでなくとも、お天気だったとしても、私たちはたくさんのことを話したかったのだと思う。カフェで、お蕎麦屋さんで、居酒屋さんで、各自が思い思いの話をした。
移動はおだんごさんとバクゼンさんの乗用車に乗せてもらった。この時、2グループに別れたのも良かったのでしょうね、とのちにあやしもさんは語った。
新幹線は関東組で話すだけ話して、あっという間に目的地に着いた。行きも帰りも一瞬であった。行きは驚くべきことに、東京駅に私を車で送った夫が自宅へ帰るより早く、私の方が新潟に着いてしまった。夫側の道が渋滞していたとはいえども、どれだけ近いんだ!と驚いてしまった。
「冬の新潟もまたいいんですよ」とお2人は景色を見ながら教えてくださった。
私は新潟の町並みを眺めていて、屋根が鋭角であること、そして住居の一階が地面よりかなり高く作られていることが気になった。
田んぼの稲は、私の住んでいるところとそれほど変わらない、むしろ私の地方の方が背丈は伸びているように感じた。
ああ、雪が降るからだ。
屋根は雪を下ろしやすい創意工夫なのだろうし、一階が雪で埋まらないように玄関の位置も高く、田植えの時期もおそらく雪が降らない関東より遅いのだろう。
冬の新潟は私が幼少の頃に家族でスキー旅行に訪れたことがある。また、私の専門学校時代の友人夫婦が新潟在住のため、夫や子供と車で訪れたことがあったが、新幹線で向かったのは今回が初めてかもしれない。
駅は人気が少なく、すぐに新潟組のお2人の姿が見えた。
かすみさんのバクゼンさんへのジャンピングハグの瞬間を、この目でひとめ見ようと思っていたのに、さきほどまで握りしめていた下車用の切符がどこにあったのかを失念してしまい、しばし探しているうちに、4人は改札の向こう側で再開、あるいは初対面をもうすませていた。
私らしさに思わず苦笑する。
みんなこちらを見て、すでに満面の笑顔である。
近づいてバクゼンさんとご挨拶する。
はじめまして。
どうもバクゼンですー。
どうもくまです。
あぁ、バクゼンさんだ。私の憧れの人。そして、何度も私の心を軽くしてくれた人。
かすみさんのハグは手繋ぎにしたようだ。
しっかり者のあやしもさんが出会いの写真を収めてくれていた。
おだんごさんは文フリの「おだんご100%!」みたいなフルスロットルモードから一転、この日は穏やかな笑顔で佇んでいた。
後日、グループLINEにみなで写真を寄せ合いアルバムを作った。私は最近なんだか人物をあまり撮らなくなってしまった。けれども、他の方がちょこちょこと私たちの様子を撮ってくれていた。ありがたいことである。
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私はしろくまのヘアゴムをしていた。
それは地元のオーガニックフェスで購入した、雨に濡れると溶けてしまう一品であったので、1日目のみつけていた。
くまを静かに主張してみた。
2日間、何度も「くまさん(あるいはくまこちゃん)」と呼ばれた。
人生でこんなにあだ名で呼ばれた日々もはじめてかな。自分の名前が曖昧になっていって、それもいい。
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川は下流で長野の川と合流し、日本一長い信濃川になると聞いた。
そういえば観光らしい観光をしていないのかもしれない。
でも1日目に噂の「アレレマート」が見られた。私はもうそれで充分であった。
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ネコや犬の鳴き声がする
おいしいものもたくさん食べた。
私はアルコールに弱いので、旅行中に飲酒はほとんどしなかった。1日目の夜にほろ酔いの缶をかすみさんと半分こした。酒好きの方からするとさぞかしもったいないことをしている気もする。きっとお酒が飲めたら楽しかろうなと思ったりもする。
お米もお水もおいしいところはお酒がおいしいに決まっている。(夫へのお土産はお酒にした)
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話したことは、ここにはあまり書かなくてもいいかなぁと思ったりしている。
他の方の記事にはその断片が残っている。
皆さんの記事はとても良くて、気づくと何度も読んでしまう。
私はなんとなくナイショにしておきたい。他者が書く分にはいい。私は今振り返ってみると、随分と不思議な気持ちで2日間を過ごしていた。旅の前に色々な出来事が訪れて、今回の旅の仲間もそのことを理解してくれながら、接してくれていたように思う。皆さんのまなざしがやさしかった。
特におだんごさんは心配しながらも、それをひかえめにひかえめに調節して、あたたかく接してくれていたように思う。私はこの山のふもとの街で、おだんごさんが色々な人のおうちに元気をお届けしているところを、今後はより鮮明に思い浮かべられそうである。これは新潟に行った人にしか味わえない大きな特典である。生おだんごさんにお会いして毎回思うのが、コロコロと表情が変わるのがかわいらしいなぁと思うことと、あと、個人的に彼女の声が好きなのである。あとは、これはご本人にも初めて伝えるが、ちびまる子ちゃんのアニメとか、かもめ食堂に出てきそうだなと思ったりする。全然違和感なく登場できそうだな、と思う。
バクゼンさんに、感謝を伝えることができた。以前書いたくるりの「HOW TO GO」の記事のコメントのお話を私からさせてもらった。当時、バクゼンさんは、次男さんのお話をコメントに書いてくださった。私はそれを拝読して、すごく救われたような気持ちになった。バクゼンさんなりの次男さんへの想いがあって、私はそれを読んで自分と母親のことを振り返ることができた。このことは、私にはとても響く内容であったし、きちんと直接お会いして感謝を話せたことが、私の新しい宝物になった。バクゼンさんはnoteと同じだった。ナイスバクゼンすぎた。ほぉ〜とお話を聞いているおだやかなお顔が忘れられない。そしてしっかりと高田純次の片鱗もうかがえた。私も目指すぞ!高田純次。
あやしもさんは、たぶん1番楽しんでたんじゃないかなと思った。いや、各々が楽しかったとは思っている。思ってはいるが、なんとなくそう思うのだ。あやしもさんは普段からわかりやすくはしゃぐような方ではない。旅先でも普段のやわらかなあやしもさんであった。けれども、気持ちが昂揚しているんだなとじんわりと私にも熱が伝わってきていた。それでいい、もっとはしゃいじゃいなよ!くらいに思っていた。彼女は「くまさん色々あったから自分を労ってね」といつも言うのだが、くまはおことばを返してしまいたい気持ちでいっぱいである。あやしもさんだって頑張っていたのを知っていたから。冬の入院〜退院を経て、ここまで歩んで走ってきたのを私もこっそり横で見ていたから。今日は楽しんじゃいなよ!ってずっと思ってた。これも本人には言ってない。ここで書いてしまった。
かすみさんはお菓子が似合うのだ。このスリムビューティーな存在とお菓子の組み合わせは、一見なさそうなのだが、アリアリのありである。「はい。これあげる」といつも、ちょこっとお菓子を渡してくる。それが私は毎回嬉しい。なんというか、すごく自然なのだ。何事も人の好意を断りがちな失礼なこの私が、彼女からの好意はするっと遠慮することなく、受け取ってしまう。(それは実はお菓子だけの話でもなかったりする)アレレマートでカートを押している姿は、スーパーにとてもなじんでいたし、あの瞬間は地元民の誰よりもアレレマートを楽しんでいたに違いない。「これおいしいから!」とすすめられて買って、後日「くまこちゃん違った!おいしいのはあっちの方だった!」というオチまでがセットである。
ここに書かれたことは、もしかして「ええ〜これを書くのか!」というところがあるかもしれない。
他にもあるけど、大事なことはあえて今日は外してみた。くまが失礼をはたらくのは仲がいい証拠である。
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楽しかったね。
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まだまだ楽しいことは続いていく。
そんな予感しかない今日この頃である。
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