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【シュークリーム】 どれくらい寝ていたのだろう。 窓からさす光は、鈍角である角度からして…
さみしさの音が響いた。 長く降り続く、この時期の雨は細く霧雨のように辺りを包みこむ。 グ…
「サステナブルサステナブルって、うるせえな」 「続けることばかり言いやがって何をやめるか…
「愛を信じすぎちゃいけないよ」 隣にいる男性は青々とした芝生の上に気持ちよく寝転んでい…
「私のかたつむりはうまく動いてくれないのです」 雨だれが風に乗って聞こえた日。楚々とし…
13話はこちら ※このお話はすでに創作大賞2024で投稿したお話ですが、ぷんさんの挿し絵が入り…
「どうしたの?これ」 部屋のまんなかに大きい桃がそびえたっていた。 桃はふっくらとしていた。 それは赤ん坊の頬のようにきめこまかく瑞々しく、柔和な曲線を描いている。それとともに、目に飛び込んでくるのはその大きさだ。通常の桃の何百倍もある大きな桃は、山のようにずっしりとした重量感を持っていて、木でうちつけた床に、広い面積の影を落とした。 そして、なんといっても、うっとりとするほど甘い匂い。痺れるような鼻の奥を抜けるその芳香が部屋中に充満し、気がつくと頭の中は桃源郷に入り込
『こんなはずじゃなかった』 暁の頃、薄明かりのやわらかい光が東の空から徐々に上空に広がっ…
12話はこちら ※このお話はすでに創作大賞2024で投稿したお話ですが、ぷんさんの挿し絵が入り…
11話はこちら 第12話「真夏のクリスマスツリー」 【星一の回想】 半分開けた南の窓から白…
10話はこちら 第11話「万華鏡のシンデレラ」 行き交う人々の喧騒は、先ほどまでざわざわと…
9話はこちら 第10話 待ち時間~父親と赤い星~ 「わぁーもう無理やーあかんて」 潤はベン…
8話はこちら 第9話 待ち時間〜ふたりのdance〜 朝早く祖母に手を引かれて小道を行く。 朝…
7話はこちら 第8話 待ち時間~潤とカノン〜 僕はカノンを ずっと聴き続けている 潤はそう言って静かにゆっくりと目を閉じた。 春には梅や桜。 初夏にはぼたんやかきつばた。 藤やつつじ。池に浮かぶは蓮の姿。 秋はコスモス、彼岸花。 自宅の窓の外は「日本庭園」と検索すればサンプル画像に出てくるような模範的な景色がいつもそこにあった。花たちはその来るべき時期が来ると、誰に教えられたわけでもないのに、それぞれが芽吹いて、重なり合って、そして各々が見事にバランスと調和を保っ