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自分らしく生きやすくなるために

 謎解きとか推理小説とか好きなのですが、最近見ていておもしろいドラマがありました。

 警察の文書係のアストリットと警視のラファエルが事件を解決するフランスのドラマです。

 アストリットは自閉症。小さい頃から「コミュニケーションが取れない、知的に劣っている」と学校も医師も施設に入れようとします。
 でもお父さんやその友人が彼女の能力を信じ、犯罪資料局に居場所を得ます。捜査資料や犯罪学が頭に入っているアストリットは、そこで出会ったラファエルと事件を解決していくのです。

一番印象的なのは
偏見を持たず信じてくれる人の大切さ

 ラファエルの中にもアストリットへの偏見は存在しません。
彼女のペース、苦手、こだわりを尊重します。
知らなかったことも理解していきます。
そして彼女の能力を信じています。それは上下関係や主従関係ではありません。対等な関係でいるから見ていて気持ちいいのです。

お陰で彼女は彼女らしく自分の力を発揮していきます。
このドラマを見て、私は仕事の中で体験したことを思い出しました。

突然の不安

 あるろう者が突然、毎日“追いかけられている” と言い始めたことがありました。
家の前にも出かけても、見ている人がいるというのです。

もちろん本当の可能性もあります。
でも話を聞く限り、絶対物理的には無理な状況。
とても不安がっていたので、彼がご家族に相談してみることになりました。

家族内での話し合い

ご両親と既に家を出ているごきょうだいも集まりました。
ご家族は聴者だったので、私は通訳として同席しました。

 彼は最近の状況を話し始めます。
するとご家族が第一声。

「それは怖かったねぇ」

私は、あ、信じてくれている人だと直感しました。

「どこから見られていたの?」
「お隣の〇〇さん、もうおばあちゃんだから〇〇さんじゃないわね」
「でも、ここからじゃ家ん中見られなさそう、何でかしら?」
「△△(ろう者)くん不安だろうから、落ち着くように今度お医者さんに行ってみよう、一緒に行くから」
「お父さんお母さんも変な人いるみたいだから、気をつけてね」

彼は精神科に通院し、すぐに不安は取り除かれました。

ありのままを受け入れる

 治ったのは医師のおかげかもしれません。
でも素人の私の感触ですが、ご家族が彼の状況を受け入れたことが大きいと感じました。彼を受け入れ、責めることもなく、信じた結果ではないでしょうか。

 “ろう者だから何か分からないこと言っている”とか“そんなのいるはずない”と責められていたら、あんなに穏やかに元には戻れなかったと思います。

 ドラマも、ありのままを受け入れず障害という偏見で見ていたら、類稀なる能力を社会に生かすことなく施設で一生を過ごしたことでしょう。(施設が悪とかいう訳ではありません)

偏見(思い込み)を持たず信じてくれる人の大切さ


 これは障害云々だけではないと思います。
誰もがそうです。
家族間、職場、学校、お店でもありのままを受け入れられるかどうかで、自分を卑下することなく自分らしく暮らせるかが左右され得ると実感します。

 信じずに無意識に誰かの人生を閉じ込めてしまう、なんて悲劇を引き起こさないためにも、信じる力を養っていきたいと感じました。



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