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アラフォーが引き込まれる
朝井リョウの短編集
《どうしても生きてる 朝井リョウ 著》
ふと訪れる、もう生きていたくないという瞬間。
けれど、実行に移す一歩前でその思考は踏みとどまる。
それは、どうしても生きてしまう理由が人にはあるからだ。
その理由は、愛する家族のため、大切な仲間たちのためなどという100点満点の答えだけが用意されているわけではない。
自己中心的な天狗の鼻が、へし折れる瞬間が見たい。
誰にも言えない特殊な性癖を、思う存分発露したい。
そんな暗くて生々しい理由もあるのだと、この本は突きつけてくる。
登場人物の多くが、自分と同じアラフォーだからだろうか、どっぷりと引き込まれた。
とくに、登場人物のある女性が夫に対して「自分の誠実さに酔わないでよ…」と心のなかで呟いたシーンには、まるで自分が言われたような気がして、自己肯定感がズルズルと下がった。
正直辛くて、途中で本を閉じたくもなったが、心のネガティブな部分が嬉々として反応してしまう朝井リョウの魅力的な文章がそれを許さず、どうしても読み進めてしまい、読了。
朝井リョウの魅力を再認識できた作品。
ただ、個人的には連続で朝井リョウ作品を読むと、悲観沼にハマって動けなくなりそうなので、次は爆笑できる作品をば挟みたい。
なにか、いい本ないかなぁ。