雨の季節の楽しみ
全国に先駆けて奄美地方は今年も梅雨入りした。雨の季節のはじまりだ。
島暮らしにおいて、この時期が一番厄介な季節でもある。
洗濯物は乾きにくいし、びっくりするほどの湿気で色々なものにカビが生える。そして、ずっとお風呂上がりのような水分が体にまとわりつく。
島に引っ越してきた当初は、その湿気を甘くみていて、クローゼットの中にあったスーツまでカビが生えたり、革製品がだめになったりしてびっくり。お気に入りだったバックにカビが生えたときは、本当にショックだった。
そんな少し心もどんよりする雨の季節にも、私には楽しみなことがある。
それは、野イチゴ摘み。
方言で「イチュビ」と言われるこの野いちごは、ホウロクイチゴやリュウキュウイチゴなどで、この時期、雑木林や畑の隅の土手などになっていることが多い。
祖母や叔母に話を聞くと、子どもの頃は学校帰り、おやつ代わりに食べながら、そして空のお弁当にとったイチュビを入れて帰った想い出があるそうだ。
私は、いつもイチュビを見つけると早く取りたくて焦ってしまうが、小さな棘が葉や茎にあるので少し注意が必要だ。しかし、そ〜っと手をのばし、ポロンととれた実はまるでルビー色の宝石のよう。
以前、友人の子どもたちと一緒に、山にイチュビ摘みに出かけた。
雑木林を抜けて日の当たる土手側にたくさんなっていて、子どもたちは目をきらきらさせながら、競うように摘んでいた。
イチュビは、少し酸味が強いが甘酸っぱくておいしい。きれいに洗って、ヨーグルトやアイスのトッピングとして食べてもいいし、たくさん摘めたらジャムなどにするのもいい。また冷凍してスムージーに入れるのもおすすめ。
毎年のように、この時期イチュビ摘みをするようになって気がついたのが、雨上がりの晴れた日に蕾がひらいて実がたくさんなっているような気がする。
だから、私は雨の季節でも、この雨が上がったらイチュビを探しに出かけようとひそかにニヤニヤしてしまうのだ。
雨よ早くあがりますように・・・。