くじら、あるいは海に隠された世界の核心について
くじらが好きです。
たいした理由はありません。
大きくて素敵だと思います。
でも、くじらがこわいのです。
どうしてでしょう。
くじらのことを思うと息が苦しくなります。
しかも、食べられてしまうかもしれないとか、押し潰されてしまうかもしれないとか、くじらがいるような海では溺れ死んでしまうかもしれないとか、そういうはっきりと説明できるような理由があるわけではないのです。
くじらはただこわいのです。
深い海に潜り、海面を揺らし、私の知らない世界で生きているその巨体は、私の考えを