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課題19.欠点や負の感情を『自分の一部だ』と思う(PART2) #夢をかなえるゾウ0 #やってみた

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課題19.『欠点や負の感情を『自分の一部だ』と思う』

(当企画の説明や目的はこちらから )

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前回の続き。

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大学3年の夏。

インターンに出向く友人が現れた。

彼らに問いかける。

その会社で何をやりたいの?

特にないけど…周りやゼミの先輩に言われて、やっといたほうがいいかなって思ってさ。

まぁ、インターンが内定に繋がることもあるし、就活の練習にもなるし、一応受けとくかーって感じかなぁ。


…ばかじゃねーの。

そんなマインドで就職したって、”これは俺のやりたかったことじゃない”、と悩み、会社を辞める。そんな未来が透けて見えるようだった。

そんなことより、自分が何をやりたいのか、どうしたいのかをクリアにす
るのが先
に決まってる。

…俺は、絶対にそうはならない。

やりたいことを明確にして、それを基に就活をすることこそが、本質的で、効率的で、唯一無二の就活の王道なんだと、信じて疑わなかった。

…でも、同時に、


やりたいことがないのに、行動に移せる彼らのことを、

羨ましくも感じていた。

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就活をする上で最も大事なのは、徹底的に”自己分析”を行い、”就活の軸”を決めること

誰が言ったか、どの本に書いてあったのかは、覚えていない。

でも、

やりたいことをクリアにし、それを基に就活をする。

そう信じて疑わなかった僕には、とても救いのある言葉に聞こえた。

自分が信じていたことは、やっぱり、間違っていない。

だとしたら、このままやりたいこと探しに力を入れ続けよう。

そしたら、いつか必ず、やりたいことは見つかるはずだから。

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12月。

学内説明会が始まった。

企業で働く早稲田OB, OGがキャンパスに訪れ、自分たちの会社説明会を行うというイベントらしい。

やりたいことが見つかっていないのに、どんな企業の説明を聞いたって時間の無駄だ。

このイベントに参加する時間があったら、やりたいことを見つけることに力を注ぐべきだ。

一様の黒いスーツを着た学生でごった返すキャンパスを尻目に、

僕は、あいも変わらず、”やりたいこと探し”に没頭した。

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友人から、就活セミナーに一緒に出ようと誘われた。ES添削や面接対策を無料でやってくれるものらしい。

やりたいことが見つかっていないから、俺はいいや。

と、断った。

就活ムードが、日に日に増していくのを感じる。

もう、「やりたいことが見つかってから」なんて、言ってられる時期ではないのだろう。

一日も早く、やりたいことを見つけて、就活を始めなければ、取り返しがつかないことになる。

──あれから、随分やりたいこと探しをした。

人一倍、気持ちはある。人一倍、努力もしている。

なのに、どうして…どうして俺は、

…やりたいことを、見つけられないのだろう。

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OB訪問、ES添削、SPI対策、面接対策、

どこもかしこも、景色は就活色に染まっていた。

友人たちは、強固な自己分析に基づく、”就活の軸”を作り上げていた。

心底、すごいなと思った。

「会社に入ったら、こんなことをしたい。」

「自分の長所は、こんなところだと思う。」

「学生時代に頑張ったことは…」

自信に満ちあふれた表情で、自己PRを諳んじる彼らが、心底眩しかった。

みんな、しっかり努力して、やりたいことを見つけ、行動している。

それなのに、俺は、

「就活よりも、やりたいことをクリアにする方が先だ」

なんて、それっぽい言い訳ばかりして、

こうして今になっても、やりたいことを見つけられていない。

この絶望的なコントラストは、

──いったい、なんなんだ。

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みんなが、やりたいことを見つけられて、自分が見つけられていないのは、自分の努力が足りないからだ。

そう思い、貪り尽くすように、あらゆる自己分析本を読み漁った。

片っ端から、友人たちに、他己分析を依頼した。

恥を忍んで、両親にも聞いた。

自己分析のワークなんて、もはや何冊、何十週やったか、覚えていない。

…何度も

何度も何度も

何度も何度も何度も何度も

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

なにかに取り憑かれたように、やりたいこと探しに、僕は、溺れていた。

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1月。

みんな、ESの締め切りやSPI対策に追われていた。

IT系の企業から内々定をもらったと喜ぶ友人もいた。

就活セミナーに誘ってくれていた友人は、まだ間に合うから、一緒に頑張ろうと、毎日のように僕と会って、背中を押してくれた。

僕はここでも、「やりたいことが見つかってないから」と言い訳して、躱し続けた。

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2月。

就活で忙しそうにしていた友人の彼は、相変わらず毎日のように僕と会ってくれた。

近況を聞く。

サークルの人たちは、100社くらい応募しているみたいだけど、俺はそんな体力ないから、30社くらいしか応募してねーや。

彼の就活手帳が見える。

説明会、ES締め切り、〇〇社面接、と、びっしりと予定が書き込まれている。

…幸い、大学名パワーなのか、ESはほぼ100%通過するぜ。

でも、面接が全然うまくいかねーんだよなぁ。

声のキー、2オクターブくらい上げてるんだけどな!

僕をそれとなく奮起させるように、彼は根気強く、就活の話題を出し続けてくれる。

…やべえ!電話だ!!

彼がカラオケルームから外に出ていく。

どうやら、本命の企業の一次面接通過の連絡だったらしい。

彼は、とても喜んでいた。

僕も、自分のことのように喜んだ。

気付けば、いつしか就活は、”他人事”になっていた。

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3月。

友人の彼は、第一志望の会社の最終面接にたどり着いたそうだ。

面接前の最終確認だといって、彼は自己分析のノートを読み返していた。

…俺の自己分析のノート、どこへしまったっけ。

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4月。

彼の就活が終わった。本命の企業には、残念ながら受からなかったそうだ。

それでも、とある大手銀行から内定をもらったそう。
就活していない僕ですら知っている、有名な銀行だった。

俺にできることあったら、これからも、いつでも言ってくれよな。

優しく語りかけてくれる彼が、眩しかった。

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5月。

内定をもらって就活を終える人が増えてきた。

周囲から、就活の話題が少しずつ減ってきている気がする。

6月。

キャンパスでスーツを着ている人のほうが珍しくなってきた。

7月。

…世界から、自分だけが取り残されている気がした。

8月。

…もう誰も、僕の前で就活の話題は出さない。

9月。

10月。

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ある朝のこと。

ふいに付けたテレビ番組で、就活特集がやっていた。

…ザッピングしていた指が止まる。

一様の黒のスーツを着た学生たちが、大規模な会場にひしめき合い、説明員の話を聞きながら必死にメモを取っている。

何人かインタビューされていた。

どうやら、ここにいる人たちの多くは、どこにも受からずに持ち駒が無くなってしまい、2次募集で就活を続けているそう。

苦笑いしながら、それでも泥臭く、前を向き続ける姿が印象的だった。


クッションに座り、じっとテレビを見る。


テレビに映る就活生の姿と、それをテレビ越しに眺める自分を俯瞰する。


…情けない。


本当に情けない。


涙が止まらなかった。


一緒にテレビを見ていた母は、何も言わないでいてくれた。


親の前で泣いたのなんて、いつぶりだろう。


あのときの気持ちは、ちょっと言葉にはできそうにない。


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やりたいことを見つけようとしたことは間違っていない。

でも、その見つけ方が間違っていたのかもしれない。

…これまで僕は、自分をよく知る友人や親、自分の趣向で選んだ本に、答えを求め続けた。

その結果、やりたいことを見つけることはできなかった。

それどころか、知識ばかりが肥大し、いつのまにか自分の殻の内に閉じこもり、そこから飛び出すが怖くなって、どんどん塞ぎ込んでいった。

…だから今度は、自分の殻の外に答えを求めてみようと思った。

自分のことをよく知る友人や親、自分の趣向で選んだ本に、答えを求めるのではない。

自分の殻を破っていくように、未知の世界に飛び込んで、そこからやりたいことを見つけていこう。

そうして導き出した僕の就活戦略は、”学内説明会に、片っ端から行きまくること”だった。

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30社くらい説明会に参加した頃だったか、とある自動車メーカーの説明会が転機となった。

直感的に、この会社は、他の会社とはなにかが違うと思った。

なんというか、言葉の一つ一つが、”生きている”と思った。

上辺っ面の言葉ではない。奇を衒った言い回しで学生に迎合しない。

ただ淡々と、でも存在感がキラリと光る、そんな不思議な感覚。

その姿は、幼い頃からの”かっこいい大人像”である、あの”塾の先生”たちと重なった。

車なんて、微塵も興味ない。

車の仕事をしたいとも思わない。

でも、こういう”かっこいい大人”がいる会社で働けるのだとしたら、きっとそれは、これまでの塾の先生たちと働いていて感じた日々ような”青春”を、味わえるのかもしれない。

それから、そこで働く人を、かっこいいと思えたか、一緒に働きたいと思ったか、というのを、就活の軸とした。


結局、その第一志望の自動車メーカーには残念ながら受からなかった。


けれども、同じ自動車業界で、似たような雰囲気を纏っていると感じた今の会社から内定をもらい、僕の就活は、幕を閉じる。


自身の欠点や負の感情が、これでもかと煮詰めこまれた、


人生で最も辛かった、生臭くて、ずっと蓋をしていたい、


二度と思い出したくもない、そんな出来事。

(PART3に続く)

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夢をかなえるゾウ0 課題一覧

 1.日の出を見る
 2.好きな匂い、物、人、場所を見つける
 3.やりたくない依頼を断る
 4.自分の欠点や弱さを告白する
 5.生活に「初めて」を取り入れる
 6.自分の感情・感覚を丁寧に観察する
 7.実物を見る
 8.過去の出来事を「伏線」ととらえ、希望を持ち続ける
 9.興味を持ったことを一歩深める
 10.インターネットを一日断つ
 11.自然の中でゆっくり過ごす時間を持つ
 12.虫の役割を知り、大事にする
 13.名作を鑑賞する
 14.やりたくないことを全部書き出し、やりたいことに転換する
 15.怒りの気持ちを伝える
 16.苦手な人の信念を読み取る
 17.自分と違う分野・文化の人と話す
 18.仮体験をする
  ①PART1
  ②PART2
  ③PART3
  ④PART4
  ⑤PART5
  ⑥PART6
 19.欠点や負の感情を『自分の一部だ』と思う
  ①PART1
 20.自分と同じ痛みを持つ人を助ける
 21.誰かの「ありのまま」を愛する

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