【読書感想】大人の男女関係を巧みに描いた一作。『男ともだち』
皆様は異性の親友はいますか？
大人になるにつれてそういうの減ってきましたよね。
ある程度の関係以上になると、そっから先は恋人関係に落ち着かないと許されない風潮というか。
世知辛いす。
そんな異性関係に焦点を置いた作品でごわす。
誰よりも理解しながら決して愛しあわない二人
冷めた恋人、身勝手な愛人、誰よりも理解している男ともだち……
29歳の女性のリアルな姿と彼女をとりまく男たちを描く直木賞候補作。
29歳のイラストレーター神名葵は、
関係の冷めた恋人・彰人と同棲をしながらも、
身勝手な愛人・真司との逢瀬を重ねていた。
仕事は順調だが、ほんとうに描きたかったことを見失っているところに、
大学の先輩だったハセオから電話がかかる。
七年ぶりの彼との再会で、
停滞していた神名の生活に変化が訪れる――。
今作は大人の男女関係を描いた作品です。
登場人物どいつもこいつも不倫だの浮気だの二股だのしてる大人な作品です。
ドロドロな話かと思いきや、心理描写が巧みに描かれていてそこに引き込まれていきます。
主人公の神名は彼氏大切にしない、恋人いながら医者と不倫関係という常識に当て嵌めればクズ認定されても仕方ない人物。
しかし読んでいると彼女も彼女なりに必死に生きているのが伝わってきて、段々とその人柄や生き方に魅力を感じてしまう。
そんな物語の中でキーパーソンになるのが「ハセオ」という男。
めちゃくちゃプレイボーイでありながら、神名には一切手を出さずに親友として立ち振る舞う。
(2人きりで出掛けたり、2人きりでお泊まりしたりしてるのに)
そんなハセオの存在は神名を変化させ、神名の心を救っていく。
が、周りからしたらハセオと神名の特殊。
次第に神名も、ハセオとの関係性や自身のハセオに対する気持ちに対しても疑念を持つようになり…
といった大人な友情・恋愛作品です。
未だ議論がなされている男女間の友情。
そこに踏み込みひとつの形を提示してくれた面白い作品でした。
ではでは