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「ゆめ可愛いもの」でつながった日曜日

一文字も書けなかった日。そんな日のことも覚えていたい。
これは、私の私のための日記です。

2024年6月30日 (日) AM

珍しく、恋のような夢から目が覚めた。内容はほとんど覚えていないのに「これは恋だなぁ」という感覚がじわっと残っている。熱しやすく冷めやすい私は、恋に深い思い入れがない。「うーん、それで?」とぼやけた思考でスマホを見ると7時前。家はしんとしていた。

夫も娘も起きていないなんて珍しいと思いながら、のそのそと顔を洗う。もしかしたら、家族みんなで余韻の残る夢を見ていたのかな、なんて。隣の部屋にいるはずの娘と夫を確認。娘はぐっすり寝ていたが、夫がいない。朝ごはんを食べて、庭にでも出ているのか。

不審に思いながらトイレに入ると、便器のフタが開いていて「流すときはフタを閉めてくれよな」と思う。脳内で文句を言いながらトイレを出ると、視界の端で人が倒れていた。夫だ。物置になっている部屋の、これまた冬用布団の物置になっているベッドに夫がいた。

うつ伏せで右腕・右手を伸ばし、SOSを出しているよう。「何してんの?」と起こすと、夜中に下痢が続きトイレから一番近い場所におさまったとか。気の毒に思う。追加で「下痢なら、フタを閉めて流すを徹底してくれ」とも。私は、エアロゾル感染に厳しい女。

作り置きのカレーがあったので、下痢の夫とともに「朝カレー」。娘も合流し、和やかに朝ごはんを食べた。そして、8時過ぎには夫が仕事へ。休憩時間に読書をしようかなと言い出したので、浅倉秋成さんの「教室が、ひとりになるまで」を貸し出す。普段本を読まない人には、なんとなくミステリを勧めてしまう。

1日の予定を娘に話しながら、片付けや洗濯を進める。来客があるので、トイレ掃除も念入りに行った。ひと段落して娘に近寄ると、汗だく。そうか、子どもは暑がりだった。ごめんごめんと謝りながらエアコンを点けて、お着替え。ピンクのワンピースにデスノートのミサミサ風ツインテールを合わせた娘は、鏡を見て誇らしげにしている。私も、アイシャドウを使うなど、ちゃんとメイクをする。

そして、買い物へ。少し大きめの商業施設に赴き、ダイソーで娘の髪飾りを補充した。百円だからと、指輪セットも買ってしまう。「ゆめ可愛いもの」は、子どもに持たせると威力が増す。

ダイソーで購入した指輪セット

娘は青と紫が好きなので、ハートとさくらんぼの指輪を気に入っている。私のお気に入りは青色のさくらんぼだけど、娘に「1個あげる」と言われたら「ピンクのお花」と言うようにした。ピンキーリングにして、娘と乾杯の仕草もした。

2024年6月30日 (日) PM

私は蕎麦、娘は焼きそばを食べた。食べ終えて、娘が目をこすったタイミングでお昼寝に誘うが失敗。雨の日に子どもの体力を削るのは難しい。かといって起こしておいても機嫌が悪くなるので、眠そうにするまで絵本を読み聞かせた。ひとカラに行ったみたいに、絵本の読み聞かせでも容易に喉が枯れる。

そして、前職の同期が遊びに来る時間までになんとか娘を寝かしつけた。結果、大人ふたりでゆっくり茶をしばくというボーナスタイム発生。研究所の改装が終わった話や同期が結婚した話、旅行の話、キャリアの話など、流れるように話した。

薬学部を進学先に選び、製薬メーカーを第一志望とし、同じ人事に採用された私たち。数々のフィルターをともにろ過されてきた彼女だから、胸のうちがすらすらと言えるし、言葉がすっとしみこんでいくのかもしれない。

それでも、私は会社員に向いておらず、彼女は会社員に向いているという違いはあって。「似てるけど、違う」それこそ当たり前さと笑い合った。清々しい。

そうやって和やかに過ごしていたのに、起きてきた娘が過去最大級の人見知りを発動。「ママのお友だちと遊ぼうね」って言ってたやん。横目でチラチラ「ママのお友だち」をうかがいつつ、離れたところでアンパンマンの映画を見始めた。だが、「わたし、メリーさん」くらいの不自然かつ早急なテンポで、ママのお友だちとの距離を詰めていく娘。

買ったキラキラたち(髪飾りや指輪セット)を同期が褒めると、突然笑顔を見せた。「ゆめ可愛いものが好きな奴に悪い奴はいない」そんな調子で、指輪を同期と私に配り始める。「3人でキラキラ〜!イェ〜!」と声がけをすると、一体感が強まり一気に女子会ぽくなった。

そして女子会は、場所を回転寿司屋にうつした。うどんと納豆巻きを頬張りながら、隣のテーブル席で男の子が食べているソフトクリームに目を奪われている娘。を横目に見つつ、同期が次に行こうとしているモンゴルの話を聞いていた。馬に乗って大草原を移動したり、星を見たり、子ども連れでも楽しめる場所らしい。そこまで遠くはないし、とてもいい。回転寿司屋とモンゴルにギャップがあるから、一段と爽やかに感じるのかもしれない。

こんなふうに娘連れでも会ってくれる友だちというのはありがたいと温かい気持ちになりつつ、家まで彼女を送り届けて帰宅。バイバイしたあとに、あれだけ人見知りしていた娘が「また会いたい」と号泣していた。家に着くころにはケロッとしていて、「また来てくれるよ」とか言い出す。受容の速いこと。

シャワーをふたりで浴びて汗を流し、寝転がりやすい仕立てのパジャマに着替え、絵本を何冊も読み、娘を寝かしつけた。いつもは寝る前に寂しくなり「ぱぺぇ〜〜〜(パパの意)」と涙する娘が、すんなりと寝た。ママもパパも揃っていないとというのは思い込みで、日常にエンタメ性があると不安はぼやけるものなのかもしれない。

たとえ百円でも、ダイソーでも、「ゆめ可愛いもの」のおかげで打ち解けたふたりがいた。そして私も娘も「キラキラ〜!イェ〜!」な女子会に、間違いなく救われた。清々しく、楽しい日曜日だった。

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久保みのり
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