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なぜ退職代行なの?
先日「9連休明けに退職代行の依頼が急増している」という気になるニュースが流れていました。
年末年始の9連休という奇跡の長期休暇の後、退職代行を通じて退職する人が約1.5倍に増えているということです。
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報道によれば、「退職理由としては 、
『年末までがむしゃらに働いてきたが、年明けで緊張の糸が切れてしまった』、などと年末年始の長期休暇明けの影響がうかがえるケースのほか、
『社長から度重なるパワハラがあった。有給を3日間取得したら『体調管理も仕事のうちだ』とボーナスを減らされた』や、
『労働環境の悪化でうつになったが、休職させてもらえなかった』などと、職場環境の悪化を訴える声もあったという。」ということです。
もともと、昔からゴールデンウイークや夏季休暇などの長期の休みの後、
仕事に戻るのが嫌になって辞めていくケースはありました。
もっと身近な事でいえば、週末の休みが終わり、仕事が始まる月曜が憂鬱という“ブルーマンデー症候群”もその典型でしょう。
月曜日の午前に仕事が再開するストレスにより心臓病等でなくなってしまう“魔の時間帯”という怖いことにもなります。
皆さんも経験があるのではありませんか?
このように、休み明けに退職が増えるということ自体目新しいものではありません。
私が注目したのはそこではなく、前々から気になっていた“退職代行”を利用する人が急増しているという点です。
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退職代行というのは、1~2万円の手数料を払えば、会社への通知や各手続き、私物の引き取りまで退職に関する作業一切を本人に代わって実行してくれるというサービスです。
「マイナビ」によると、利用者の年齢層は40代以下の若い世代です。
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私の感覚からすると、退職という大問題を人任せにして、本人はお世話になった会社に顔を出さないというのは全く考えられませんでした。
しかし調べてみると、話は少々複雑でした。
「マイナビ」のレポートによると、退職代行を利用した理由は、
「退職を引き留められたから(引き留められそうだったから)」、
「自分から退職を言い出せる環境でないから」、
「退職を伝えた後でトラブルになりそうだから」が、上位に来ています。
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今の職場は「言い出せる環境ではなく」、
会社と「トラブルになりそうだから」というのは、
いわゆる“ブラック企業”が増えているように見えます。
そういう“ブラック企業”だと、退職の意向を伝えることに、身の危険さえ感じてしまうかもしれません。
これだと「いち早く退職する必要があるから」というのも納得できますし、そうしなければいけないと思います。
これこそ退職代行に頼らざるを得ない状況と言えるでしょう。
又、より良い環境を求めて転職するということ自体のハードルが年々低くなり、退職代行というサービス自体の認知度も上がり、安心して利用できる環境になってきたというのもあるでしょう。
費用も数万円と少し頑張れば出せる範囲です。
しかし、レポートにもある「退職のやりとりや手続き、又退職理由を考えるのが面倒だから」というのは、まさに本人のコミュニケーション能力に疑問が生じ理由です。
きっと直接対面で伝えることに強いストレスを感じるようになっているのでしょう。
職場でも同僚や上司、或いは部下と意思の疎通がうまく取れず、ずっと悩んでいたところに長期の休みがあり、「もういやだ、戻りたくない」と、「緊張の糸が切れた」のだと想像できます。
こうなった原因を考えてみると、
核家族化など、個人主義が徐々に浸透し、家族や社会との人間的なつながりが希薄になってきた。
過保護等により、子供に失敗するチャンスを与えなくなり、スキルが身につかないまま社会に出ることになってしまった。
自分に自信が持てず、劣等感から、対面での不安が出るようになった。
コロナ禍や働き方改革で、リモートワークやオンラインミーティングなどが増えた。
LINEなどのSNSによる、じっくり考えてから行うやりとりが主流になり、瞬間的なやりとりとなる直接対話の機会が減った。
“メンヘラ”の人が増えた。
ことなどが挙げられます。
会社内でもコミュニケーション不足からくるトラブルは頻繁に起こるようになりました。
これらのコミュニケーションに対する苦手意識を少しでも和らげるには、
家庭や友人と少しでも会話する機会を増やす。
自動販売機ではなく、対面で買える店に行き、簡単な挨拶でもいいので、人と触れ合えるようにする。
上手く話そうと思わずに、話すこと自体を楽しむようにする。
これらの対話のちょっとした成功体験をどんどん増やす。
などが考えられます。
要はたいそうがらずに、どんどん人と触れ合うことです。
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そして何よりも、家庭や学校、職場など、相対して受け入れる側が、批判的な目で見ることを止め、コミュニケーションがうまいとか下手とかよりも、暖かく接していくことです。
つまり、本人だけの問題にしてはいけないのです。
今後こうしたことがより一層求められ、大事になっていくのではないでしょうか。
今回の記事は、ブラック企業がいかに増えているかという問題と、若い人たちのコミュニケーションに対する苦手意識がという二つの点が浮き彫りになったようです。
今日もお読みいただきありがとうございました。スキやフォローを頂けるととても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
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