AI時代に悩ましくなるカスタマーサービス事情
アメリカ生活とカスタマーサービスは切っても切り離せない。とにかく、細かなオペミスの多いアメリカ。何かあるたびにカスタマーサービスに問い合わせをしないといけない。以前、『アメリカでカスタマーサービスとやりとりする際の十箇条』という記事を公開したが、最近AIの進歩に伴い、事態は益々複雑になっている。何が複雑になったのかというと、そう、なかなか人につながらないのだ。
空の封筒から始まる不毛な日曜の午後
今日、家にAmazonの封筒が届いた。ひょいっと封筒を持ち上げたところ、かなり軽い。かなり小さめのトングを頼んだので、「こんなもんかな?」と思い、封筒を開ける私。中を見て目が点になる。何も入っていないのだ。
思わず、「おいっ!」と突っ込むも、空の封筒も「私はただ届けられただけですので、私に言われましても、、、」とばかりに所在なげに佇むのみ。家族と改めて確認をしたが、送られてきたのは空の封筒のみ。
これが製品が壊れていたなどの「普通の返品」であれば全く問題はない。返品はよくあることなので、通常通りAmazonのページで返品処理をするのみ。何度も実施と検証を繰り返されたプロセスなので、鉄壁の安定感を誇る。が、こういう「袋だけ届いて製品が入っていなかった」という例外処理は経験的に手こずるのだ。早速、Amazonのページで再送処理を試みるも、やはりそれに類する手続きはない。返品の流れで再送をお願いしようとしても、「送られた品物を返送します。その返送処理が実施されなかった場合は、料金を引き落とすことに同意します」みたいなチェック欄をクリックしないと先に進めない仕様になっており、先に進めない。送り返すものもないのにこんな約束はアメリカ社会ではできない。
立ちはだかるAI:人にはつなげません
仕方ないので、嫌な予感を抱えつつ、まずChatでの対応を試みる。今のChatはAIで自動化されているものが多いので、基本的にAmazonのページの返品処理のワークフローに誘導するのみ。何度かチャレンジしたが、案の定、今回のような例外対応をしてくれない。
Chat担当者につながるようなパスを見つけようとするが、どうしてもうまくいかない。「もう、面倒くせーから大した値段じゃないからまた買うか」というアイデアが頭をよぎるが、こういうところで妥協をする人間が損をするのがアメリカ社会。「いかんいかん」と仕方なく、カスタマーサービスへの電話を試みる。
カスタマーサービスにつながるが、勿論立ちはだかるはAIの自動音声。企業側の何としてもコストのかかる人にはつなげないぞ、という鉄の意思を感じる。
あぁ、これはWebページやChatのフローと一緒のやつだ、あかんと思いつつ、「Delivered package was empty」のような感じで一縷ののみかけて説明を試みるも
とまたまたループに入ってしまった。しばらく虚しい押し問答をAI音声と繰り返し、「How can I help you today?」とまた聞かれたので「I want to talk with a customer service associate」みたいに問いかけるも、「O.K. let's specify which order you need my help with」みたいな感じで出だしに戻り、無限ループの沼に突入してゆく。
AIとの不毛な議論を断ち切る一手
短い休日の午後にAI音声と同じ不毛な議論を続ける私。相手が人間であればまだ手応えがあるのだが、無機質なAIと押し問答を続けるおっさん、虚しさを通り越して滑稽ですらある。
そして、本日4回目くらいの「How can I help you today?」の際に、AI相手に「I need to talk with a customer service associate!!」とキレ気味に怒鳴りつける私。AIに怒鳴ってアホなんじゃないかと自嘲気味にため息をついたら、ついに
と進展をみせる。この瞬間だけは、サッカーの試合で延長後半0対0の試合で応援しているチームが先制ゴールを決めたような快感が走る。日曜日の午後に不毛なAI音声との戦いを制し、静かにガッツポーズととる私。本当にアホくさいことこの上ない。
AI音声のカスタマーサービスとやりとりした最近の経験から、とにかくことあるごとに「I need to talk with a customer service associate」というのは大事のように思う。「何度かAI音声対応を試みて駄目だったら人に誘導する」というロジックがあるように感じる。最近のAIの進歩を見ると言葉の怒気を判定している可能性もある。なので、ことあるごとに「担当者ださんかい!」とキレ気味に問答するのが良いかもしれない。
まとめ:続くであろうイタチごっこ
コスト競争力を高めるために、なるべく少ないカスタマーサービスの要員で対応する、というのは最近のアメリカ企業の至上命題となっているのだろう。コスト削減のために「なるべく人にはつながないぞ」と企業側の並々ならぬ意思をいつも感じる。鉄壁の守りをAIをフル活用して築き上げる企業と知恵をしぼって何とか人と話そうと試みる顧客のイタチごっこは、このAIを時代の世相をよく反映している。このイタチごっごが続いていくことは自明なので、私も対策の磨きをかけていこう。何か独自のテクニックやコツをお持ちの方は是非共有ください。
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