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実地指導の初動対応①:担当者との電話応対は管理者が行う

訪問介護サービスの管理者として、介護事業所の経営サイドの視点として、これまでの実地指導の体験をもとに「こうしておけば良かった」といった反省点をまとめている。

まずは実地指導の準備を円滑に進めるためのスタート段階で注意すべき要素をお伝えするが、これは何も難しいことではなく、念頭に置いていただきたいことは次の2つだ。

1.実地指導の担当者との電話応対は、管理者が行う
2.実地指導が決まったら、すぐに運営法人へ報告する


「こんなの当たり前では?」と思われた方は少なくないだろう。実地指導は管理者が表立って行うものだし、運営に関わる話なので運営法人に報告するのだって普通だろう・・・と誰もが考えるはずだ。しかし、これは私が実際に体験から得られた大きな教訓である。

上記の2つを見てピンときた方は、ここで読むのを止めてすぐに今後の事業所の体制に活かしていただければ幸いである。もしも上記の伝え方でイマイチ理解できなかった方は、もう少しお付き合いいただければ幸いである。

本記事では上記の「1.実地指導の担当者との電話応対は、管理者が行う」について詳しくお伝えしたい。

さて、昨日の記事でもお伝えしたが、実地指導と言っても役職や立場によって受け止め方は大きく異なる。経営サイドは介護報酬の返還や事業休止(廃止)となるとビジネスとして大きな打撃になるが、現場サイドは管理者も含めて大ごととして受け止めにくいのが現実だ。

しかし、実地指導を行う側はそんなことは知ったことではない。経営者も現場も同様の認識で事業運営をしている、という前提のもとで体制を点検するのが彼らのスタンスだ。(悪い意味ではなく、役割として当然の話)
実地指導が行われることを事業所側へ伝えたら、以降は事前の提出書類を期限までに受け取り、あとは事業所と打ち合わせした日程に訪問するまではつながりは一切ない。また、事業所がどう準備を進めるのかも関係ない。

これは見方を変えれば、一番最初に実地指導を行う担当者から「実地指導をする」「●月で都合が良い日はいつか?」というやり取りをして以降は、実地指導の当日まで直接やりとりする機会はないということだ。つまり、この電話での担当者とのやり取りは、お互いを知る貴重な機会となるのだ。

そのため、実地指導に係る全ての対応は、初回の電話受付から管理者が行ったほうが良い。どんなに電話応対に慣れている職員であっても、すぐ管理者へ取り次ぎしてもらうか、管理者が不在の場合は折り返して担当者と直接やり取りをしていただきたい。

もちろん電話越しで先方の人格を決めつけてはいけないし、当日の実地指導が緩くなるわけでもないが、相手について何も知らないよりも不安は軽減されるはずだ。これは実地指導の担当者も同様であろう。

また、実地指導の案内とは言え、電話受付ならば一般職員でもできるだろう。面会や医療などの外部関係者の対応に慣れている職場であれば、管理者の予定を把握さえしていれば日程調整だって可能だろう。
しかし、管理者がこれに甘んじていると、特に市役所とのやり取りは大ごとになる可能性があると肝に免じていただきたい。

これはいわゆるビジネススキルの話になるが、電話応対が不慣れな職員によっては先方の言った内容を聞き間違いをしたり、実地指導の電話がきたことを報告し忘れする可能性がある。
また、面会や医療との訪問受付に慣れている職員が応対した場合、日常でやっている対応と同じ感覚で実地指導の日程調整まで受付する可能性もある。

・・・何だか自事業所の職員の電話応対を信頼していないような言い分だが、実地指導に限らず、電話応対した職員の電話応対の報告忘れと自己判断の日程調整によって大ごとになったケースを私は身をもって体験した。そのため、余計なお世話と分かっていても提言したい。
(さらに余計なお世話を言うと、日常においても電話が不慣れな職員は電話対応スキルが習熟するまで電話に出さないという対策も必要だと思う)

最後に。
実地指導はいつ案内が来るかは分からないため、初動対応から円滑にするためには日常における啓蒙活動をしておいたほうが良い。
一年に一度は管理者や施設長から職員全体に対して「実地指導の担当者から連絡がきたら、そのまま受付せずに管理者である自分へ取り次ぐこと。不在の場合は折り返すよう伝える」と伝えても良いだろう。
もし統制がとりにくいようであれば、もういっそ「市町村や都道府県から電話がきたら、すべて管理者へつなぐこと」としても良いかもしれない。社員教育として電話応対を任せることは必要だが、それは職場に正確に情報を伝達させるということが前提にある。

何だか情報共有の話になってしまったが、これを誤れば実地指導の担当者としても「この事業所の情報共有は大丈夫なのか?」というあらぬ疑いを抱かせかねない。当たり前の体制は日常から立てておいて損はないだろう。

実地指導の初動における注意点の「2.実地指導が決まったら、すぐに運営法人へ報告する」は別記事にて詳しくお伝えするので、よろしければお目通しいただければ嬉しい限りだ。

ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。




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