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上司のコトバは部下の励みになる

藤本正雄さんのこちらの記事に触発されてキーボードを叩いています。

藤本さんは、人事評価シートが部下の自己評価とそれに対する上司評価を併記するつくりになっている場合、

「本人のコメント通り」といった書き方が是か非かなのではなく、論点にすべき本質は、きちんとした自己評価と評価者による評価がなされているかどうかにある。

藤本さんの上記記事/太字は原文のまま

とおっしゃっています。その通りです。

藤本さんが取り上げていらっしゃる企業様の人事評価シートは、部下の特定の行動を評価するために項目が10あり、そのそれぞれについて部下の自己評価と上司評価を対比するつくりです。

評価項目が精緻に細分化されているので、部下の自己評価と上司評価が一致している場合、上司が自らのコトバで言うべきことはなくなります

たとえば、コミュニケーションを適切に行っているかどうかを評価する項目のひとつが

《人の話を途中でさえぎらずに、最後まで聞き届けている》

だったとします。

部下の自己評価が

「心がけているが、問題解決が急がれるとき、相手をさえぎってしまいがちである」

だった時、上司から見てもその通りであれば、上司が自らのコトバに言い換えて書き加えることは、ありません。

どうしても書けと言われたら、私なら「よく努めている。問題解決が急を要する場面でも聞き届けられると、さらに良い」と書きますが、しょせん部下が書いたことの繰り返しに過ぎません。

さはさりながら......です。上司が部下に対する期待を述べたコトバ、それも書き物として残るコトバは部下の励みになります。私がいた研修会社では、私を含め多くの講師が、研修の事前準備として参加者の上司に《上司から部下への手紙⦆を書いていただき、それを研修の場で参加者に手渡していました。

私がいちばん多く耳にした感想は、「こんなに良く見てくれているとは思いませんでした。嬉しいです」というものでした。

《上司からの手紙》は、上司が部下の仕事ぶりを包括的に見て感じたことを書くものです。おおぐくりな話なので上司が作文できる余地があり、そのぶ分、上司が自分自身のコトバで綴りやすくなります。その生のコトバが部下の心を動かすのです。

ですから、人事評価シートでも、精緻に区分された項目ごとの(部下の)自己評価・上司評価に加えて、上司の自由記入欄があっても良いと、私は思っています。

項目別評価で部下の行動を多面的にモレなく評価した上で、それを頭に置きつつ、上司として部下に期待することを上司の生のコトバで書き添える。そのような人事評価シートは、部下が自らの行動を具体的に顧みた上で、上司の期待に沿って改善点を見つける上で大いに助けになるのではないかと思います。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。




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