スタートアップでの経験と名著「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」から学ぶ、チームの成果の出し方【マネージャーの仕事編】
こんにちは、高石です。
ビットキーというスタートアップでファームウェア開発チームの責任者をやらせてもらってます。
実際に僕がビットキーでチームの取りまとめをやり始めたのは2020年から。
人生で初めてチームを任されてからまだ2年しかたっていないですが、ビットキーというスタートアップがとてつもないスピード感で事業を進めている都合上、「2年とは思えないくらい」の経験をしてきていると思っています。
その中で経験したこと、感じたこと。そして、今改めてHIGH OUTPUT MANAGEMENTを読んで学んだことを綴っていこうと思います。
※ちなみに、HIGH OUTPUT MANAGEMENTは3年ほど前に一度読んでいましたが、当時はそれほど感動しませんでした。組織・チームをリードする、という当事者意識がほとんどなかったからだと思います。本を読むタイミングって重要だな、と改めて感じました。
※上記に当てはまらない人にも読みやすい様にする様努めます
【本の紹介】
この本の著者は、インテルにてCEOを務めたアンドリュー・グローブ氏です(Wikipedia見るとなかなか豪快な人の様・・・笑)
この本は、大きく分けて4つの部で構成されています。
この書籍が「名著」と言われる所以だと思うんですが、上記の4部全てに物凄く価値が詰まっています。
その中で、僕が価値を感じた点を考慮して各部に副題をつけるなら以下となります。
正直言って、副題に記載したこと以外にも沢山価値あることが書いてあります。上記は「僕にクリティカルヒットした内容を副題としたもの」です。
人によっては他の内容が琴線に触れることも十分ありえるとおもうので、ぜひ読んでみて下さい。
では、上記4つの部の中でも僕が特に価値を感じた以下の2つの部について、実体験を伴いつつ紹介していきまっしょう。
※熱量入れて書いていたところ少し長くなってしまったので、こちらの記事では「2」のみについて触れ、「4」については更に別記事にて記載します。
【2.経営管理はチーム・ゲームである 〜マネージャの仕事:マネージャの出すべき価値とその実現のための手段〜】
①マネージャのアウトプットとは
この部の冒頭には以下の記載があります。
僕自身、マネージャとしての役割に就いた当初は上記と同じようなことを考えていました。が、著者はそれを一蹴します。
このような事柄は、「マネージャのアウトプット」ではなく、「アウトプットを実現するためになすべき手段」である、と。
更に著者は以下の様にマネージャのアウトプットを定義しています。
例えば、「ウエハ製造工場の責任者」であれば、そのアウトプットは「完成された高品質の、十分に加工されたウエハ」である、と。
※ちなみにウエハは「半導体素子を作るために必要なシリコン材料」のこと。以下みたいなやつ。筆者がインテル出身なのでこの例出したのでしょう。
↑シリコンウエハの写真(画像はWikipediaより)
このマネージャのアウトプットの定義について、何を当たり前のことを・・・と思う人もいるかもしれません。
ただ、2020年の年末ごろ、自身のマネージャとしての価値に全く自信を持てなかった僕にとっては、失った自信を取り戻すきっかけとなる程の一言でした(当時実際にきっかけとなったのはHIGH OUTPUT MANAGEMENTを読んだわけではなく、会社で最も信頼している同僚に相談したときに投げかけられた言葉、でしたが。「マネージャの成果は、チームの成果そのものだよ」と言われたことを今でも鮮明に覚えています。)
「プレイヤー」として、「目の前にあるタスクを自分自身の手で着々とこなして達成感を得てきた人」ほど、「チーム全体として、自分以外のメンバーが達成したことの集大成がマネージャーの成果」という意識を根付かせるのには時間が掛かると思います。僕自身がそうでした。
何せ、手を動かしているのは「自分ではない他のメンバー」であり、「自分は何もしていないのに成果は出た」という形に見えますから。
僕自身の体験でいうと、2020年の中旬〜終盤に関しては周囲からどんなに「ファームウェアチーム、成果出てるね」と言われたところで、「頑張ったのは僕ではなくメンバーの彼らなんで・・・」と、捻くれた受け取り方をしてしまっていた程です。
それに対して、「チームの成果=マネージャーの成果」と思える様になった今では、「チーム全体のアウトプット自体に間違いなく価値はある」ということと、「それを出した自分自身」に対して一定以上は自信を持てる様になりました。
こんなインタビューを受けて、「一定は自分に自信を持てる様になった」と断言できる程度にはね。
②マネージャがアウトプットを出す為の手段
上述の通り「マネージャのアウトプット」が「監督下、もしくは影響下にあるグループの成果」とするならば。
著者は「それを実現する為に、一連の色んな活動に従事すること」がマネージャの仕事だと位置付けています。
先に出てきた「判断と意見」「方向づけ・指示」などもその一つです。
「色んな活動に従事して成果を出す人(なんとかやりくりする人)」を英語で「Manager」と呼んでいるので、日本語で「マネージャ=管理職」と訳することに違和感を感じる人が一定いるのは理解ができます(僕も違和感を感じている側)
で、著者が「マネージャの主な仕事」としているのは以下と読み取れます。
このうち、それぞれについて筆者は以下の様に説明しています。
これを見ると、「とにかく徹底的に情報の取り扱いを意識すること」がマネージャとして意識すべき点、に見えます。情報を「収集」して適切に「提供」して、時折「突っつき」ながら最終的に「意思決定」をすることで皆の模範となる「役割モデル」となることがマネージャの仕事なわけですから。
以前の僕は「ミーティングばかりしている自分」に若干の負い目がありましたが、その中で「提供」と「収集」が適切にできていればいい、と思う様になってからは、「ミーティングが多い」ことも「マネージャとしての自分の仕事として適切な時間の使い方」だと考えられる様になりました。もちろん、ミーティングが無駄に長くならない様に意識はしていますけどね。
さて、著者は、これらのマネージャの仕事のうち、「ナッジング」が「極めて重要な活動」と位置付けています。メンバーに対する「突っつき」のことです。
これは、「命令・指示」とは明確に異なる「確認」である、と筆者は述べています。更に、「ただの情報伝達よりは強いものである」とも記載しています。
僕自身も「この案件ってどうなっている?」「もっとこうした方がいいんじゃ?」というコミュニケーションを定期的にメンバーとしています。これは自身がチームをリードをする様になってからずっとです。
「マネージャとしての重要な活動」という認識がなかった以前は「こんなにせっついて、メンバーに鬱陶しいと思われたら面倒だなぁ・・・」という負い目が一定以上ありましたが、今は「マネージャとしての価値あるアウトプットを出す為にはこの『ナッジング』が絶対必要だからやる」と考えられる様になりました。
この負い目がなくなったのは「ナッジングによって得られる最終的な各個人の成果の積み重ね=チーム全体の成果=自分の成果である」と改めて認識できたからです。
ちなみに、元ZOZOでご一緒させて頂いた田端さんも、「ナッジングの大切さ」をyoutubeで語っています。
失敗から学んだ部下についてのマネジメントについて語ります:田端大学Youtube支店
あと、2018年当時、オンライサロン「田端大学」に僕が在籍してるタイミングで、本書についての講義がありましたね。もっと真剣に聞いておけばよかった、全然覚えてないや笑
「事業を成長させ、高い生産性を実現するマネージャーがやるべき仕事とは?」名著HIGH OUTPUT MANAGEMENTに学ぶ:田端大学 公式note
僕個人としては、「マネージャになりたての人」は、まずこのHIGH OUTPUT MANAGEMENTの第2部から読み始めるのが良いのではないか、と考えています。
1部の「プロセス」や3部の「組織体制」、4部の「面談のやり方」などよりも、何よりもまず2部の「マネージャとしてのアウトプットの定義」と「それを効率よく実現する手段」を学ぶことができるからです。
「なんとなく、必要そうだからやっていたこと」が「明確に、マネージャのアウトプットを出す為に必要である事項」であるとこの本に背中を押してもらうことで、「自信のないマネージャ」から「強い意思・自信を持ったマネージャ」に進化できると思います。
もし、最近マネージャになられた方、今後マネージャになりたい方などがいらっしゃったら、購入して読んでみることを強くオススメします。
ではでは、続きはまた別途。
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