漢方逸話『中高年世代は手離せない!?八味地黄丸のお話じゃ~』その②
前回に続いて、八味地黄丸(はちみじおうがん)についてのお話じゃ。
人は加齢などによって、排尿のための筋肉がゆるんだり、ホルモンバランスが変化したりして、排尿のコントロールがうまくできなくなることがある。
漢方では加齢による尿トラブルは「腎虚(じんきょ)」が原因だと考えておる。
この腎虚とは聞きなれない用語と思うのじゃが、これは、泌尿器系(腎臓など)・生殖器系・内分泌系(ホルモン系)などの機能を漢方の世界では「腎(じん)」 と呼んでおり、この「腎」の機能が低下している状態を「腎虚」というのじゃ。
そして、八味地黄丸はこの「腎虚」に効果的な漢方薬として生み出されたのじゃ。
8種の生薬により、水分代謝を改善し、 血液循環を促進、全身を温めて新陳代謝を促し、頻尿や夜間尿、残尿感、軽い尿もれなどの尿トラブルに効くとされておる。
膀胱は伸び縮みすることで、尿を溜めたり出したりするのじゃ。
ところが加齢などの影響で膀胱が固くなり、弾力性が弱まると、尿をしっかり溜めきれず、夜間尿や頻尿等の症状が現れてしまうのじゃ。
また、尿を出し切れない残尿感という症状も現れ、尿道の筋肉(尿道括約筋)がゆるむことで軽い尿漏れになることもあるのう。
尿をしっかり溜めて、しっかり出せるようするのが八味地黄丸というわけじゃ。
今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思うのう。