漢方逸話『女性の強い味方!当帰についてのお話』
婦人科疾患によく使われる漢方薬として有名な”当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)”の中心生薬は、ネーミングにも使われている当帰といえる。
当帰はセリ科のトウキの根で、スーパーで売っているセリと区別がつきにくい見た目をしている。
トウキは西洋では「Angelica」(アンジェリカ)呼ばれ、昔からハーブとして使われていた。やはりこの「Angelica」も婦人科疾患の悩みを持つ女性によく使われてきたといわれている。
「Angelica」の語源は「Angel」で、このハーブは天使のように様々な婦人科疾患に効くという意味だそうだ。
東洋では、当帰に有名なエピソードが残されている。
その昔、足腰がよく冷えており貧血・虚弱体質の花嫁がいた。冷え症で生理不順のため子宝に恵まれず、そのため実家に帰されてしまったという。
実家に戻って、仙人に相談したところ、「山に行ってある植物を煎じて飲みなさい」と教えられた。
早速その名もない植物を煎じて飲んだところ、体が温まり冷え症も生理不順も治り、嫁ぎ先に戻ることができたのだ。しかも、すぐに子宝も授かりたという。
「当然帰るところに戻った」というところから、その名もない植物には当帰という名がついたと言われているとのこと。
今回はここまで。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思う。