漢方逸話『中高年世代は手離せない!?八味地黄丸のお話じゃ~』その①
今回から数回に分けて、八味地黄丸(はちみじおうがん)という漢方について説明するとしよう。
この漢方は「高齢者の尿トラブル(頻尿、夜間尿など)」に使うのう。また、老化一般の症状と言える腰痛、しびれ、かすみ目、高血圧、夜間尿などに対応できる漢方じゃ。特に現在ではおしっこのトラブルに繁用されておるのう。
この八味地黄丸は漢方的にいう腎虚(じんきょ)という状態に使う代表処方じゃ。この漢方用語の腎とは泌尿器系の機能や、さらに内分泌(ホルモン)系、生殖器系をも含めたものとされておる。
そして、腎虚という漢方用語はこれらの器官の機能が低下した状態を指しておるのじゃ。
特にホルモンは漢方用語では精(せい)と呼ばれ、人間の一生を一般的に送れるように管理する基礎物質として捉えられておる。すなわち、腎虚では乳幼児の発育不良、成熟期の肉体不良、早めの老化などを含めた意味になっておるのじゃ。
乳幼児の発育不良で有名なのが「五遅五軟:ごちごなん」というが、歯が生えるのが遅い、首がすわらないなどがこれにあたるのう。先ほども述べた通り、今の八味地黄丸は老化の中でも尿トラブルを中心に使用されておるが、この処方はホルモン代謝を正常にするのが基本作用であり、様々な症状に適応するのじゃ。
江戸時代には男性の強精剤にも使われておった。そのため男性用のイメージがあるのじゃが、本来は男女関係なく使用できるものじゃ。例えば、女性の尿トラブルにもとても効果的でじゃ。
江戸時代の川柳に「八味丸飲んでるそばに恋女房」というものがあるのう。この場合の恋女房とは一般女性も含めた意味との事らしいのじゃが、とにかく、この八味地黄丸(八味丸)を飲んで腎の機能を高めて、いつまでも元気に健康的な夫婦でいたいものじゃのう。
今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思うのう。
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