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漢方逸話『女性は7の倍数、男性は8の倍数!?八味地黄丸のお話じゃ~』その③

今回も八味地黄丸(はちみじおうがん)についての説明じゃ。
「高齢者の尿トラブル(頻尿、夜間尿、尿漏れなど)」に使うことで有名の処方じゃが、本来は老化一般に対応するものとして作られた処方なのじゃ。
そこで今回は、漢方的に「老化をどう考えるか」について説明するとしよう。

約2,000年前に書かれた黄帝内経(こうていだいけい)という医学の古典には、女性は年齢の7の倍数で肉体が変化し、男性は8の倍数で変化していくと書かれておる。
黄帝内経によると女性は7×7の49歳で肉体が衰え始め閉経を迎えるとされておる。そして、男性は8×7の56歳で生殖能力が弱まり体全体の老化が顕著に見え始めるとされておる。

この一連の流れは、後で述べる漢方用語の五臓の腎という機能が管理しており、その腎に作用させるために作られた処方が八味地黄丸というわけじゃ。
漢方用語の腎とは泌尿器系のみではなく、内分泌(ホルモン)系、生殖器系をも含めたものじゃ。
よって八味地黄丸は尿トラブルのみではなく、早めの老化一般を改善する作用があるとされておるのじゃ。効能にも夜間尿、頻尿以外に「腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、高血圧など」があることでわかるのう。

黄帝内経には老化に対する養生法として以下の記載があるので最後に紹介するとしよう。
「飲食に過不足があってはならない」
「心身ともに疲れないようにする」
「酒によって運動してはいけない」
「季節に応じた生活をすること」
これを守ることで老化が進むのを遅らせ、いつまでも若々しくいられるとされておるので、読者は実践するとよいじゃろう。

今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思うのう。

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