20240609_「法然と極楽浄土」@東京国立博物館
東京国立博物館
特別展「法然と極楽浄土」に行ってきました。
展示概要
末法の世に、法然によって始まった浄土宗が
どのように人々を支え、今日まで続いてきたのかを、
浄土宗ゆかりの名宝を観ながら学べる内容となっていました。
印象深い展示物
♦ 展示No.152「一枚起請文」
作者など: 足利義輝筆
員数: 1幅
時代 世紀: 室町時代 永禄3年(1560)
所蔵: 京都・知恩院
専修念仏の教えを1枚の紙に平易に書いたものです。
当時は、上人の求めによってこのような書写をすることもあったようです。
足利義輝は、審神者にとっては三日月宗近の元主として馴染み深いですね。
特に歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」では、
その生涯に大いに胸を打たれました。
1560年といえば、念願の入洛が叶って1~2年経った頃でしょうか。死没の5年前でもあります。
♦ 展示No.179「日課念仏」
作者など: 伝徳川家康筆
員数: 1幅
時代 世紀: 江戸時代 17世紀
所蔵: 東京国立博物館
徳川家康が、滅罪のために
「南無阿弥陀仏」をひたすら書き写したものです。
しかし、「南無阿弥家康」と書かれている箇所が2箇所あります。
書き損じたものの、やり直さなかったのでしょうか。
♦ 展示No.181「仏涅槃群像」
作者など: -
員数: 26軀(82軀のうち)
時代 世紀: 江戸時代 17世紀
所蔵: 香川・法然寺
その名の通り、涅槃を表した群像です。
釈迦の入滅を鳥や虫まで悲しんだと言いますが、
本群像にはカタツムリまで含まれています。
写真に撮り損ねてしまったのですが、
猫と猿だけは釈迦にそっぽを向くような形で配置されていました。
どうやら元々そのような配置のようです。
猿は涙の跡があったので、見つめていなくても
悼んでいるのは変わりないのでしょう。
猫は泣いてはいないものの、茫然とした面持ちでした。
まとめ
殺し殺される戦乱の世を想うたび、
「死んでしまえ」と思われていると自覚して死ぬのは
どんな気持ちだろうと考えてしまいます。
法然の父親は夜襲が原因で命を落としましたが、
「敵を恨んではならない、出家して菩提を弔うように」と言い遺しました。
その言葉に従った先に、法然は、
学や貴賤・犯した罪に関係なく、専修念仏によって
全ての人々を救う浄土宗を開きました。
法然の教えは、乱世に生きる多くの人々の
苦しみに寄り添い、大いに支えたことでしょう。
死は、今も昔も平等にやってくるものです。
この懐が深い宗派が受け継がれていることを、
いつか私も感謝する日が来るかもしれませんね。