読書記録:親といるとなぜか苦しい
本書はいわゆる毒親本。
「毒親」という言葉はあまり好きでないので「有害な人間関係」に関する本、と言い換えておこう。
このジャンルではスーザン・フォワード「毒になる親」が非常に有名で、この本で人生救われたという人も多いはず。
私自身もその一人で、講談社版を15年くらい前に読んだ。
改めて「毒になる親」について検索していたら、講談社プラスαの出版から20年を経て、2021年には毎日新聞出版から「完全版」が出版されている。いまや古典。
「完全版」が読みたくて購入してみたところ、タイトルから「一生苦しむ子供」がなくなっていることに気が付いた。
Amazonで調べてみたら原書タイトルはこうだった。
え~、ないよ。。。「一生苦しむ子供」の文脈が一つもない。つまり講談社の編集者がつけたサブタイトルだったということ?もしそうだとしたら、これは辛い。
回復を求めて本を手に取る読者にとって、タイトルに「一生苦しむ」と書かれているのは「不治の病」と医者に宣言されるようなもの。苦しみが終わらないと読者に内面化させるようなサブタイトルは良くない。原書にないネガティブなニュアンスが、販促のため付加されているのだとしたら非常に悲しい。特にこのような内容の本において。
毎日新聞出版の完全版に「一生苦しむ子供」がないのは、原題に忠実だからなのだろう。。。知れて良かった。
さて、本題にもどろう。本書「親といるとなぜか苦しい」のとても良いところは、世の中には「精神的に未熟な親」がいるとまず認めて書き始めているところだ。
有害な親の元で育った人は、まず有害な環境に自分がいたと認めることが難しい。「問題が存在している」と認識することが、回復の第一歩であるにもかかわらず。
そんな時、本書のように「精神的に未熟な親っているんです、で、私の研究では、その人たちは四種類いるんですけどね、、、、」と、さらっと書き始めてくれているのは、回復を求めて模索している読者にとっては、非常に力強い応援になる。
親を完全に理解しようとしたり、自分の気持ちを親に理解してもらおうとして人生の時間を費やすよりも、自分自身の目標に集中して時間を使うほうが幸せになれるし、合理的な生き方であることは頭では理解できる。
しかし、家族にまつわる頭の中のもやもやに毎日苦しめられているとしたら、この本はそのもやもやをすっきりさせる助けになるので、苦しんでいる人はぜひ手に取ってほしい。
私自身の経験として、こうした悩みを他人に話すと「親不孝者」と思われる。理解を示してくれたとしても「被害者」「愛情貧者」「情緒不安定」などフラットでない印象を持たれる。個人の信頼度が下がってしまうと感じていたので、なかなか人に話すことができなくなっていた。
しかし、今はさらさらとnoteに書くことが出来る(すごい
!!!)。
様々な本を読んで考えたことで、問題がアウトライン化できた今、この問題の当事者(アダルトチルドレン)へのネガティブな印象は正しくないし、私は一人の尊重される人間であるという自信をしっかりと持つことが出来たからだ。
本を読み考えることで人は変わることができるんだと、これを書きながら一人しみじみ感動している。