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読書の記録『リリー&ナンシーの小さなスナック』

 ナンシー関とリリー・フランキーの対談集。雑誌の企画で月1回連載されていたものを一冊にまとめたらしい。
 二人が好き勝手に言いたい放題してるのが痛快で、リリーさんがやたら「Fカップの女」を押していてナンシーさんがあきれてたりするんですが、ああ、こういうノリも、もはや令和じゃ受け入れられないだろうなと隔世を感じずにはいられません。
 毒舌というのとも違うんですが、世の中のことをおもしろおかしく切っていくのが気持ちよくてケラケラ笑いながら読み進めておりますと、終盤に差し掛かったところでナンシーさんが、「私は、ナンシー関で10年後も消しゴム彫ってるのかな。ま、間違いなく彫ってるんだろうな」って言ってるところがあって。それが2002年の1月号。
 気になったので調べてみたら、ナンシーさんはその年の6月に亡くなってるんです。それを調べてしまったものだから、そこ以降の二人の痛快なやり取りが悲しくて悲しくて仕方がなくて、巻末にはリリーさんの追悼文まで掲載されているもんですから、私は梅田行きの始発列車のなかで泣いてしまいました。

 目の前には脚を広げて鼻を啜りながらストロングゼロのロング缶を飲んでるおっさん(たぶん年下)がいてさっきからずっとカッコ悪いな〜って思ってるんですけど、始発で文庫本読みながら泣いてる私もなかなかのものです。

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