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令和6年読書の記録 アガサ・クリスティー『ポアロ登場』真崎義博訳

 「おしゃれで、潔癖で、自負心が強く、小柄な体格で風変わりなベルギー人が、"灰色の脳細胞"を駆使して、次々と難事件を解決する…
いまや世界に知らぬ人のない名探偵エルキュール・ポアロが、よき相棒のヘイスティングズとともに14の謎に挑む!ミステリ史上屈指の名コンビが活躍する最初の短編集。新訳で登場」

↑文庫裏面の紹介文引用

 アガサ・クリスティーの名探偵といえば、ミス・マープルとポアロらしい。ポアロのことは名前しか知らなかった私、もちろん1ページめから順に読んでいくわけなんですが、正直なところ、いまひとつ、その魅力がわからないといいますか、なにしろ、古今東西の名探偵の名前を十人列挙しなさいといわれたら十人目までには必ず挙がりそうな名前の割に、あれ?思ってたより、、、となってしまったわけなんですが、それでも読めてしまうのは相方のヘイスティングズとの軽妙な掛け合いの面白さ、ヘイスティングズは単純な男で、ちょっとしたトリックも見抜けないから、いつもポアロの毒舌にやられているんですが、それに腹を立てながらもなんやかんやでポアロが大好きなんですよね。ポアロはポアロでそんなヘイスティングズを可愛らしく思っていて、二人の間にしか流れ得ない空気感が読んでるこちらに伝わってきて微笑ましく思っていたら、事件が解決してしまっている。
 というのは言い過ぎですが、ヘイスティングズと一緒で難しいトリックは読んでもわからない私なので、事件の真相云々よりも、二人の世界を楽しんでいると、最初はいまいちピンとこなかったポアロの人間像が次第に魅力的に映り、最後に収録されている、ポアロがかつての失敗談をヘイスティングズに披露する「チョコレートの箱」を読む頃には、すっかりポアロ、可愛いやないか、という気分になってしまった。

 時代背景も舞台も全く違うので、いまいち、意味がわからない箇所も多々ありますが、そのわからなさも心地いい。わかりやすいばかりの読書なんて面白くないじゃないか。ああ、東野圭吾の加賀恭一郎に続いて、また私を沼らせる名探偵が出てきてしまった。加賀は刑事ですけど。

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ポアロともアガサとも関係ありませんが、京都市内を中心にオープンしたお店の1人目の客になる活動を続けています。このたびその活動について記録した『1人目の客』なる書籍を出版しました。ネットショップ「暇書房」で販売中です。なかなか面白い本です。よろしければ是非!

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