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自分の感受性くらい
詳細を忘れてしまいましたが、9月に開催される「文学フリマ大阪」に出店いたします。
先月の「文学フリマ京都」の熱量をもう一度体感したいと思います。
涌井大宴会と文学フリマが私の暮らしの二つの軸になりそうです。
この二つの軸をより面白く、より充実させるために毎日の仕事をがんばりたいし、オープンしたお店の1人目の客になる趣味や新聞を読むこと、読書なども楽しんでいきたい。
文学フリマみたいに自分が面白いと思うものを表現した作品を多くの人に発表できる場所があるのはとてもよいことだと思います。
文学に関しては、一昔前までは名のある出版社の文学賞に応募して賞を取らなければデビューができず、自分の作品を広く世に発信することができませんでした。たぶん、いまもその方法が主流であることに変わりはないと思うのですが、そのやり方じゃないやり方が広く認知され、それを面白いと思う人が増えたという事実が私のような人間にとって希望になっています。
涌井大宴会にしても、まあ、これはご存じない方のほうが圧倒的に多いわけですが、一人芝居のような、一人コントのようなことをやるイベントでして、こういうことをやるには本来、例えば吉本の養成所に入るとか、どこかの劇団に所属するとか、そういう手順を踏まないとなかなか実現できないことなのかもしれないですが、長らく京都を拠点に同じ活動を続けておりましたら、面白がってくれる方が少しずつ増えてきて、近頃はYahooの検索で「涌井大」まで書いたら「涌井大宴会」と出てくるようになりました。「涌井大輔税理士」を超えるのが当面の目標です。
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どこかの会社や事務所に所属して「デビュー」をしなくても、自分のやりたいやり方で面白いことを模索して表現する場所があるということが、こんなに暮らしを豊かにするのか、と実感しています。
しかしながら、表現にはよりストイックに向き合わなければ、お客さんにすぐ見放されてしまいます。自己満足で終わらないためには常に真摯に自分と向き合わなければなりません。
先日の涌井大宴会では「ロックかロックじゃないか」の線引きについて語りました。
「ロック」と「ロックじゃない」があるなら、常に「ロック」を選び続ければ私はロックであり続けることができます。
しかし、その選んだ「ロック」が「ロックじゃない」場合もあります。レコードを万引きして音楽の知識を身につけたと自慢げに語る音楽ライターは、それを「ロック」だと思っているのだと思いますが、全然ロックじゃありません。
自分が頭を下げるのは「ロックじゃない」から、とにかく責任から逃れ続けるおっさんは、それを「ロック」だと思っているのかもしれませんが、自ら頭を下げて謝罪することのほうが遥かに「ロック」です。
何か面白いことを発信するためにいつもストイックでいることを放棄してしまうのは、これも全く「ロックじゃない」行為です。
「ロック」について考えていたら茨木のり子の「自分の感受性くらい」っていう詩にたまたま巡り合いまして。これが私の思う「ロック」そのものでした。私はこれを表現するために文章を書いたり、涌井大宴会を開催したり、いや、これを表現するために生きているのだと思います。
茨木のり子 自分の感受性くらい
ぱさぱさに乾いていく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子の詩は読んだことがあり、この「自分の感受性くらい」も前に読んだことがあったはずなんですが、いま改めて「ロックとは」を考えているなかで読んでみると、これ以上ないくらい私にとっての「ロック」でありました。
そんなことに感動していた矢先に今日の日経新聞に茨木のり子の特集が組まれていて、相変わらず私と世の中は繋がっているのだと感じた次第です。ロックに生きていきたい。
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運命じみたものを感じている
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