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令和6年読書の記録 綾辻行人『十角館の殺人』
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。
↑文庫版裏表紙より引用
私、「金田一少年の事件簿」はほとんど全部読んでおるのですが、ミステリ小説といえば、ここ最近の東京旅のお供になっている東野圭吾作品とアガサ・クリスティーを何作品か、その他は指折り数えられるほどしか読んでおらず、ミステリ小説における驚きのハードルが低いというのか、なんというのか、ミステリマニアの方なら「はいはいはいはい」とはいを4回言いつつ通り過ぎてしまう程度のトリックでもアホみたいに驚きます。かつて私は「その程度のことで」と馬鹿にされたことが数回あります。
そんな私が何をどう言おうが伝わらないかもしれませんが、『十角館の殺人』はほんまにびっくりしました。文庫版の帯に「衝撃の一行に震える!!」と書いてあったのですが、私、JR新宿駅東口を出たところあたりで読んでおり、当該箇所にて割と大声で「おいっ!!!」と叫んでしまいました。帯にはどの一行かはもちろん書かれてはいませんが、絶対にこの一行だとわかるくらいに特別な一行であり、しかも、その一行を特別際立たせる工夫もなされておりました。
『そして誰もいなくなった』と同じ「孤島もの」で、ミステリ研の七人が孤島にある十角館なる館を訪れるんですが、ミス研の七人は全員、「アガサ」「エラリィ」「ポー」といったミステリ作家からとったニックネームで呼び合っています。
一方、孤島へは行かなかった元ミス研の江南(かわみなみ)や守須(もりす)といった登場人物の苗字も「コナン」と読めたり、「モーリス・ルブラン」を想起させたり、遊び心があります。全力でミステリ小説の執筆を楽しんどるやないか!と思っておったら・・・その一行ですよ、なんやねん。ほんまに。あの一行を味わうためだけにもう一度この長い長い物語をさっそく再読したい。こういうの、ミステリ小説の金字塔っていうんでしょうね。
めちゃくちゃ面白かったです。
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こんな本格ミステリを読んだあとには、スケールの小ささが際立ちますが、それはそれで面白い我が著書『1人目の客』にも是非ご注目ください。