令和6年読書の記録 米光一成『人生が変わるゲームのつくりかた』
身近な「なぜ?」(Question)をスタート地点とし、正解することよりも探求(Quest)することの大切さを伝える「ちくまQブックス」シリーズ第3期の2作め。
『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』『あいうえバトル』『むちゃぶりノート』『記憶交換ノ儀式』などを作ったゲーム作家でライター、デジタルハリウッド大学教授でもある米光一成さんが「ゲームのつくりかた」について書いています。
ゲームの作り方には別に興味はないというか、いまさらそっちの世界に入ろうというエネルギーは持っていないのですが、読んでみるとこれが面白い。ちくまQブックスシリーズは持ち前の収集癖ゆえ、第1期から全作集めておるため、関心のない分野の話にもこうして巡り合えることができる。「縛り」を作ることにより新しい世界が開けるのです。
「縛り」とは「ルール」と言い換えてもいい。ゲームの作り方においても、この「ルール作り」が大切であり、最初いまいち面白くないゲームでもブラッシュアップを繰り返し、ルールを改善することで格段に面白さがアップするといいます。
最初は別に面白くなくてもよく、そのことを否定せずにまず、やってみる。やってみたうえで課題点を出し、その課題点を改善し、もう一度やってみて、さらに課題点を見つけ・・っていう繰り返しで面白いゲームを作っていく、というのは、何もゲームに限った話ではなく、別の仕事にも応用できる思考(試行)方法ですよね。
失敗を否定せず、次なるステップへの糧としていくところなんか、もっと見習っていかないといけないし、思い返せば、身の回りの人たちも、失敗を重ねてそれを自らの失敗であると受け止め、責任を背負ったうえでさらにその経験をもとに次の一手にチャレンジする、という人のほうが格段に面白いし、逆に失敗を恐れて動かない人や責任逃れする人、失敗を糧に前を向く人の姿を嘲笑う人なんかは、やっぱり魅力に乏しい。ゲームの作り方にとどまらない、人生を変えるヒントが詰まっている一冊です。
最後に書いてあった、『「アイデアは閃く」ものではなくて、たくさん溜まって溜まって吹き出すものだと思っています。いろんな思い、アイデアの種、考え、そういったものがマグマのように溜まっていって、あるとき結びついて、火山のように吹き出すのです。』という箇所だけでも、この本に出合えてよかったと思います。
ちょっとしたルール変更で世の中もっと楽しくなるし、ルールという「縛り」が知らない世界へ私を誘ってくれる。面白い本に巡りあえました。
#令和6年読書の記録 #読書の記録
#読書感想文 #ちくまQブックス
#米光一成 #人生が変わるゲームのつくりかた
趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。この趣味について綴った私の著書『1人目の客』や1人目の客Tシャツ、京都情報発信ZINE「京都のき」はウェブショップ「暇書房」にてお買い求めいただけます。
2月10日(月)開催!涌井大宴会in磔磔もよろしくお願いします。