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1人目の客ルポ

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オープンしたお店の1人目の客になるために奮闘する男を描くノンフィクションです。 #ノンフィクション #1人目の客
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#京都

1人目の客になれた話 三条会商店街編今月二軒目

1人目の客になれた話 三条会商店街編今月二軒目

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 今日は11月23日、「3」の付く日は365日晴れの街こと三条会商店街でお得に買い物ができる日です。
 私は「3」の付く日に三条会商店街でお得に買い物をしたことはありませんが、「3」の付く日は朝から晩まで商店街内で「ららら3の日はお得だな、ららら3の付く日はお得だな」と軽快に歌う曲がずっと流れているので、「3」の付く日がお得だということは知っ

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昨日の1人目の客になれた話 三条会商店街編

昨日の1人目の客になれた話 三条会商店街編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 さきほど無事、大宮高辻にオープンしたスパイスカレーのお店「キョウハスパイス」の1人目の客になった私はその帰り道、四条大宮のダイソーを上がったところに今日の14時にボードゲームカフェがオープンすることを知ったのですが、今日は11月11日、1が並ぶ縁起のいい日だからなのか、新規オープンするお店が多い。三条会商店街でも15時にオープンすることお店

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1人目の客になれた話 大宮高辻あたり編

1人目の客になれた話 大宮高辻あたり編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 もう8年ほど京都市内を中心にいくつも1人目の客になって順序も覚えてキスも上手くなりましたが、はじめて新店を訪れるときはいつも震えます。

 特に自宅および職場から歩いてどの程度時間がかかるかわからないお店に行く際はどれだけ早くに出発してもひょっとしたらもう誰か並んでいるんじゃないか、と急ぎ足になります。

 今日は大宮高辻あたりに新規オープ

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1人目の客になれた話 柳馬場四条下ル編

1人目の客になれた話 柳馬場四条下ル編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 昨日、ドラマティックな出会いを果たした「京都のお墨付き!」管理人さんから本日カフェがオープンするという情報を得ました。

 柳馬場四条を少し下がったところらしい。なんとなくの場所はわかりますが「ああ、あそこ!」とはならなかったので早起きして下見に行きました。いわゆる「ロケハン」。
 オープンは朝8時。
 40分前の7時20分に着けばおそらく

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1人目の客になれた話 京福西院駅近く編

1人目の客になれた話 京福西院駅近く編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。

 この世の中に役に立たないものは多々あれど、乗らない特急電車ほどの役立たずはあるまい。西院に17時オープンにオープンするお店へ向かうのに烏丸駅から電車に乗ろうとしたところ、16時30分烏丸駅発が特急電車だったのです。
 特急は西院に停まりません。
 16時35分に来る準急に乗らなければなりません。この特急電車ほど役立たずなものは世の中にありま

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1人目の客になれた話 西院編

1人目の客になれた話 西院編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。何ヶ月か前、あれは確か、明石家電視台の収録の前の打ち合わせの日であった、と特に必要もないのに「わし、さんまさんのテレビ出たんでっせ」というアピールをしてみる。
その打ち合わせの日、大阪から帰ってきて14時にオープンした「京都屋台せせり」というお店の1人目の客になりました。いまはそのお店、予約しておかないと入れないくらいの超人気店になっており、1人

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1人目に入店したけど1人目に注文できなかった話

1人目に入店したけど1人目に注文できなかった話

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。祇園祭は長刀鉾で本日から粽の授与がはじまります。昨晩、1人目の客になってやろうかと少し考えたのですが、まだ日が昇らないうちから並ばなければならなさそうだったのであきらめました。そこまでして並ぶほど私も暇ではないのです。聞くところによると、朝9時30分頃の段階でものすごい行列ができており、そのうえ、「並んでる人全員に粽が授与できるかわからない」とい

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1人目の客になれたりなれなかったりした山滴る甘党市

1人目の客になれたりなれなかったりした山滴る甘党市

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。梅雨をすっ飛ばしたみたいな連日の暑さにやられてしまい、一週間前までなら五分で仕上げられたものが五時間かけても仕上がらないというような、超非効率な世界を生きておりますが、効率を追い求めていたらこんな趣味を楽しむことはできません。世の中は非効率でできている。

 俳句では四季ごとに山が笑ったり(春)粧ったり(秋)眠ったり(冬)するんですが、夏の山は「

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1人目の客になれた話:京福西院駅近く神来裏編

1人目の客になれた話:京福西院駅近く神来裏編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。一週間ほど前、私と同じ西院に住む方がX(旧ツイッター)に新店情報をあげており、「神来の裏に居酒屋がオープンするっぽい」ということだったので、その日のうちにお店を確認しにいったところ、確かにそこには店ができており、17時頃だったか、中にはすでに客がいる様子だったので遅きに失したか、と歯噛みしつつも店の外から中の様子を覗き込んでいると、店員のお姉さん

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1人目の客になれた話 烏丸六角編

1人目の客になれた話 烏丸六角編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。職場の近くに居酒屋がオープンすることを知ったのが数日前。ロケーションは抜群だがオープンは17時。普段の木曜日、私は16時30分くらいまで収録をしているから、いくら職場の近くのお店とはいえ、どれだけ急いでもオープン20分前にしか店頭に到着することはできない。時を巻き戻すことはできないのだ。ましてや令和の現代、時はもはや「巻き戻す」ものではない。「巻

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1人目の客になれなかった話

1人目の客になれなかった話

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。思い返せば2014年、中華のハマムラが府庁前に移転オープンした、その1人目の客になったのが最初でした。
 以後、しばらくブランクがあり、あれは何年前だったか、小泉さんという先輩に「開店閉店ドットコム」というウェブサイトを教えてもらい、ここで開店情報をチェックすれば1人目の客になれるやないか、と気づいてから、本格的にこの趣味は走りはじめました。コロ

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1人目の客になれた話 葛野大路八条編

1人目の客になれた話 葛野大路八条編

令和5年12月19日

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。近頃、これまでのこの趣味の軌跡を辿ってみたのですが、コロナ禍は外出を憚られる雰囲気があったため、こんなハートフルでピースフルな趣味なのに、ちょっと人目が気になるといいますか、「え?このご時世にそんなことやっちゃっていいの?」という暗黙の非難があったような気がします。空気というのは雄弁でしかも嘘を吐きません。空気のくせに空気

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1人目の客になれた話 祇園梛神社隣編

1人目の客になれた話 祇園梛神社隣編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。
 昨日今日と京都の千本釈迦堂というお寺で大根焚きが行われています。お釈迦様が悟りを開いた12月8日を祝う成道会にちなんだ行事で、鎌倉時代に大根の切り口に梵字を書いてお供えしたのが始まりなんだそうです。寒空の下で食べるあつあつの大根は格別の味わいらしい。1杯1000円の大根焚きを参拝者の皆さんは無病息災を願いながらほおばっていたという新聞記事を読

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続:高島屋T8で1人目の客になれた話

続:高島屋T8で1人目の客になれた話

 京都ワイナリー四条河原町醸造にて、美味しいぶどうジュースをいただきながらお店のお姉さんと話をする。
「1人目の客になるのを趣味にしていましてね」
「これまでにもいろんなお店の1人目になってはるんですか」
「こないだ大丸のレストランがオープンしたでしょう。あそこの蕎麦のよしむらの1人目も私ですよ」
 そう得意気に話す私はこれまで解決してきた難事件について話す古畑任三郎のようであった。

「しかしあ

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