Report ♯1 | Noise Requiem for a certain musician
今回は、あるトリビュート展へ2024年2月28日に行った内容をお届けします。
この展覧会は、観覧したというよりも、傾聴したと表せるでしょう。
メモは、すぐ書くように努めたいですね。
あんなに鮮明だった記憶の糸は、掴めないほど薄れていく。
残響*|音源が発音を停止した後も音が響いて聞こえる現象のことである。
To the Journey
お届けする内容は、「Tribute to RYUICHI SAKAMOTO/」です。
Date | 2023_12_16 SAT ― 2024_3_10 SUN
Location | @NTTインターコミュニケーション・センター
Entrance Fee | ¥800
NTTインターコミュニケーション・センター(略称:ICC*)が展示会場となる。いつも最先端でテクニカルな展覧会をしているからYCAM*と並んで行ってみたい場所の1つだろう。オペラシティーギャラリーにほど近く、Google MAP頼りに道順を辿り、途中で迷ってしまいそうになりながらも、エレベーターで指定の4階へ上がる。
事前予約をしていたが、あまり必要なさそうな雰囲気だった。ゴロゴロのデカめのキャリーケースと旅荷物をカウンターで預かって貰った。ICC内の階段が5階へと繋がっており、階段を登ると目の前に無料展示エリアが広がっているが、これを特別展と思ったのは私だけだろうか。室内を1周して、「作品がない」とようやく気づき、向かって右手側に、特別展会場の入り口のドアと展覧会タイトル文字を見つける。
*NTTインターコミュニケーション・センター(略称:ICC*)|
日本の電話事業100周年(1990年)の記念事業として,1997年4月19日,東京/西新宿・東京オペラシティタワーにオープンした、NTT東日本が運営する文化施設だ。
*YCAM (ワイカム)|
山口情報芸術センター(Yamaguchi Center for Arts and Media)の 通称。山口県山口市にあるアートセンターのこと。
Modestly, Quietly
今回の展覧会タイトルに用いられている「トリビュート」とは、尊敬の印、賛辞、贈り物という意がある。坂本氏が、現代音楽/美術史を語る上で重要な人物に刻まれたことを意味するのだろう。彼の愛してやまなかったバッハ、ベートーヴェンのように。
展示会場は、大きく3つの空間に分かれていた。作品数は、12点。その内、3点の映像作品は、1つのスクリーンでループ上映されていた。2010年頃の晩年の作品や活動を中心の構成されていた。
この作品群は、彼が闘病生活の中でも音楽に向き合っていたことを知る上でも重要だろう。
|2021 JAN 直腸がん治療を公表 (69歳)
|2014 JUL 咽頭がんを公表(62歳)
Had existed
ほっとする朱色 巨大スクリーンイスが並び、人々は小声で話す。「こちらです」声に導かれ、まぶしい光の先に人々が集まる。
カールステン・ニコライとの制作風景撮影された映像(作品 E|F)が目に入る。イスが据え置かれ、数台のBluetoothヘッドフォンが陳列している。耳カバーをつけて、小さなスクリーンの映像を見る仕組みだ。
突き当たりの壁面には、ダムタイプの作品《Playback》(作品G)のレコード盤が並ぶ。レコードの盤面には、AUTORA FACTORY PLATEの独自技術によって、録音された場所を中心とした世界地図が描かれている。円盤の影が床に浮かぶ。
毛利悠子氏の《そよぎ またはエコー》(部分を本展覧会のために再構成)(作品H)のピアノが展示室内中央に置かれていた。坂本氏は、本作のために楽曲を提供し、その曲が自動演奏ピアノによって演奏さている様子は、坂本氏がそこで演奏しているような雰囲気を感じた。その周りを黒を身に纏った人々が闊歩し、ひそひそ声がこだまする。
A Space to Entrust Your mind
巨大スクリーンの据え置かれた2つの大きな黒い空間(展示室内)は、怖さよりも安心で大きく包まれている。誰かと共鳴した音は、響き渡り、エコーし、今もまだ、全ての人の蝸牛/耳の渦を通り脳にインストールされていくだろう。
Just Feeling
この冬、東京都現代美術館では、坂本氏の長年の創作活動や作品に触れることができる大規模な個展が計画されている。
彼の音や作品への情熱を考えると、消費しないように、コンテンツ化しないように丁寧に観て聴く姿勢を整えたい。
In conclusion
最近、イソップ童話「アリとキリギリス」ふと、を思い出すことがあった。自分を肯定したいのか、キリギリスのままでいたいのか。
展覧会を観てから、3ヶ月前後が経過している。
実際のところ、これまで生前の坂本氏の活動が、あまり触れてこなかった。現在、アンビエント研究をする上で、興味の矢が向く。
AIが出てくると同時に彼の逝った。彼がどんな物を作ったのだろうと思わない。もういない人。
だからこそ、これまでの彼の作品と向き合う必要を感じる。
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