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理学療法に正解はない?

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は「理学療法に正解はあるのか」について話していきたいと思います。

理学療法士は人によって得意な手技は異なります。

関節モビライゼーションや筋膜リリース、

ボバース、足底板など

さまざまなアプローチの仕方があり

プログラムもその人次第です。

結論からいうと

理学療法に正解はないと思います。

理由は前述した通りで

まだ入職して一年もたっていない今でも

理学療法っていろいろなアプローチがあるんだな

と思います。


本題はここからです。

私の意見ですが

たしかに理学療法に正解はないものの

この概念は理学療法の発展を妨げているものだと思います。

なぜなのかこれから説明していきますので

よろしくお願いします。

それでは始めます。


「理学療法に正解はない」は実はヤバい①

この概念ですが実はかなり不安をあおるものだと思います。

なぜなのか。

患者さんの立ち位置で考えてみましょう。


患者さんにとってリハビリは

これからよい生活を送るための手段の一つです。

「理学療法に正解はない」といわれたらどうでしょうか。

実のところ、まったくなんとも思わないでしょう。

「すごい世界なんだなぁ」「ちゃんと真剣に考えてるんだな」

と思うぐらいでしょう。

しかしこう言い換えてはどうでしょうか。


「医療に正解はない」


このように言い換えると不安が煽られませんか?

これからよくするために来ているのに

そんな不確定なものに手を突っ込もうとしていると考えると

患者さんからしたらたまったものではありません。

しかし理学療法はれっきとした医療行為です。

まったくもって同義のはずです。

ではなぜトラブルがなかなか起こらないのか。

それは患者のリハビリに対するリテラシーが低いからです。

一般の方はリハビリという言葉を聞いてもいまいちピンとこないはずです。

連想されるのは筋トレ、ストレッチ、歩行ぐらいでしょう。

それぐらいあやふやなものなんです。

このリテラシーの低さが

理学療法士の社会的地位が低い原因の一つともいえます。

しかし私たちはこのリテラシーの低さに助けられてもいます。

どういうことなのかというと

医者とインフルエンザの患者を想定して説明していきます。


患者さんはインフルエンザで病院に来て

医者との診察を行います。

そして終わった後、薬を処方されるわけですが

なんとタミフルが入っていませんでした。

これは誰でも怒るのではないでしょうか。

治すための薬が入っていないわけですから。

このトラブルはなぜ起こるのかというと

患者さんが「インフルエンザといえばタミフル」

という知識を持っているためです。

インフル関連のニュースや知人との会話を聞けば耳にする単語だと思います。

ですから少し調べれば情報は手に入るわけです。

しかし理学療法はどうでしょうか。

膝OAといえば***、パーキンソンといえば***

という感じで運動が連想されるでしょうか。

そんなことはありませんよね。

大体の方は罹患しない限り何も知らないはずです。

だからリハビリを自由にできるんです。

お決まりのような運動療法はないわけですから。

このような疾患に対する医療としての定番のようなものを

スタンダードといいます。

理学療法にはこのようなスタンダードが存在しません。

ですから医師に比べてトラブルが少ないわけです。

理学療法士は世間のリテラシーの低さから社会的地位は低いものの

だからこそ自由な医療を許されるわけです。

進撃の巨人で例えると

壁の周りをうろついていた無垢の巨人を憎んでいたけど

実はその巨人たちがうろついていることで

パラディ島にマーレがなかなか侵攻できなかったということですね。

なんとも皮肉な話です。

しかしこの自由な概念が出来上がったことで

どんな治療に対しても

「まあ理学療法に正解はないから・・・」

と逃げることができるわけです。

正解はなくても正解を追い求めてほしいものです。


「理学療法に正解はない」は実はヤバい②

この考え方のもう一つの問題点は

理学療法で人を悪くすることがある

ということを認識できない点です。

万人が行うべきエクササイズなど存在しません。

たしかにどんな運動療法でも根拠や理論があり

その重要性を説くことはできます。

しかしそのエクササイズで患者さんを悪くすることも十分にあります。

例えば股OAのデゥシャンヌ歩行を呈している患者さんに対して

立脚初期の股関節内転位接地を促すために

フォワードランジを行うとします。

このフォワードランジは内転位接地の運動学習にもなりますし

転倒予防の観点から見てもとても優秀なエクササイズです。

一見よさそうな戦略ですが

中殿筋が筋疲労しているためにデゥシャンヌによる代償を起こしていたとすると

また中殿筋を酷使することでデゥシャンヌ歩行が悪化します。

このように運動で人を悪くすることはたくさんあるんです。

しかし「理学療法に正解はない」という概念は

どんな運動も肯定しているようにも聞こえます。

我々理学療法士はもっと慎重に運動を選んでいかなければならないということです。


まとめ

・理学療法士は世間のリテラシーの低さに救われている。
・万人受けの運動は存在しない
・運動療法は慎重な選択を


今回はこれで以上です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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