【SS】愛言葉
私は、あなたのことが好きです。
休みの度に、会いに来てくれるあなたが好きです。
何の力もない私のことを、好きだと言ってくれるあなたが好きです。
あなたがどこに住んでいるのかは、知らないけれど。
あなたが普段何をしているかは、知らないけれど。
あなたがどんな姿をしているのか、知らないけれど。
あなたがどんな声をしているのかは、知らないけれど。
だから、無理だと思ったら、止めてもいい。
だから、疲れたと思ったら、休んでもいい。
だから、泣きたいと思ったら、泣いてもいい。
私は、あなたの側にはいないけれど。
私は、あなたが作った世界を見ることしかできないけれど。
私は、あなたを応援することしかできないけれど。
私は、あなたの味方で、いたいのです。
あ、今日もスキがついた。
私はスマホを確認して、相好を緩める。傍から見たら、きっとかなりひどい顔をしていると思う。
でも、ここには、私の顔を見る人も、もちろんそれを指摘する人もいない。
noteを始めてから、まもなく一年が過ぎようとしている。
元々は自分の痕跡を残すために始めたものだ。だから、それに対するリアクションがなくとも、仕方がないとも思っていた。
でも、投稿したものを読んでくれて、それにスキをつけてくれると、素直に嬉しい。よくスキをつけてくれる人もいて、嬉しいと思うが、ちょっと無理していないかと心配になることもある。
実際、他の方から、無理してスキをしなくてもいいですよ。と指摘されてからは、スキがつく度に、嬉しいと心配が心の中でせめぎ合う。その上、スキがつかない時は、忙しいのか体調が悪いのかと勝手に心配している。
相手の友達でも恋人でもないのに、こんな気持ちを向けられても迷惑だろうに。
自分は投稿内容全部読んで、その上でいいと思ったものだけ、スキをつけているが、そうではない人ももちろんいるだろう。
私がスキをする度に、相手も一喜一憂しているのだろうか。
そんなことを私がさせてもいいのだろうか?
きっと、note以外のSNSは、それがより顕著なんだろうな。
それとも私が考えすぎなのかな?
普段、人との交流がない私は、それだけで周りと繋がっているように感じる。もし、このアカウントを削除したら、簡単にこの繋がりは切れてしまう。私はnoteでも本名は明かしていないし、自分のことを書くことは苦手だから、エッセイや日記はあまり書かないし、たぶん、現実の私と結び付けられる人はいないだろう。そして、現実の私は、誰にもnoteで投稿していることを明かしていない。
ここで叫んでいる私は本当の私じゃない。
小説と称して投稿しているものは、もちろん自分の体験談じゃない。
全て作り物。フェイクでしかない。
だから、どれほど書いても、本当の自分が認められるわけじゃない。
元々希薄な自分は、時期に作り物の自分に塗り替えられていく。
いつか、私の創作物を読んで、おかしいなと思ったら、きっと私はフェイクの自分に入れ替わっていると思う。
その時のために、合言葉を決めておこうか。
その合言葉は「……」です。
終