『GOD OF WAR』(2018)は何を描こうとしたのか-神話と現代
・本記事の目的:『God of war』(2018)がどのように神話を現代化しているか明らかにする、という主題についての導入と説明。
・読み終わる時間:約7.5分
・次回はこちら
はじめに
思えば、一か月ぐらい前でしょうか、youtubeの関連動画に出てきたのは、なんとゴッドオブウォーラグナロクのトレーラーでした!
最後は鳥肌立ちまくりでしたね!!!
サンタモニカスタジオさんが作っているアクションRPGで、日本だと知名度はあんまりですが、世界的には大人気シリーズらしいですね。
「日本では禿のおっさんが主人公のゲームは売れない」と誰かが言っていたのを思い出します(笑)
ここで、私と『ゴッドオブウォー』(以下GOW)シリーズとの関わりというどうでもいい話を言っておきますと、最初に知ったのは小6の時で、クレイトス兄貴がクロノスの腹を切り裂いて出てくるシーンを見たのがきっかけです。
それからGOW3をやって見たのですが、その時の衝撃は言葉にできないというか、まあ、すごかったですね。
エログロ上等、壮大な世界観とストーリー、いやに頭を使わせてくるギミックなど。今まで出会ったことのないゲーム性に強烈に惹かれて、どんどん嵌っていきました。
いや、言葉にするとどうしても陳腐になってしまいますね。「言葉は無粋、実際にやってみなはれ」ということです。
リブート前のGOW3でもいいですし、北欧神話を舞台にした新生GOWでもいいと思います。今やっても十分面白みのあるストーリー、世界観設定だと思います・・・・・・。
思いますが・・・・・・私はここまで書いて一つの疑問を抱いたんですよ!
つまり、「なんでGOWのストーリーは面白いのか??」
「面白いもんは、面白いんだ!以上!」でもいいのですが、私みたいな暇人かつ理屈っぽい人間は、「面白さにはその訳がある」とか考えだしたり、「面白いものは、面白くなるべくして、面白くなっている」。その原理原則を解き明かしたいという(無駄な)欲求に駆られるのです・・・・・・。
誰も神話を必要としない
そういう訳で、「なぜGOWのストーリーは面白いのか?」(一緒に?)考察していきましょう。
勿論、無策でこの疑問に挑むのではありません。仮説が有ります!
すばり、「神話的テーマと現実的テーマの融合」です。
そもそも皆さんは、神話が好きですか?
なんで好きですか? どこに惹かれるんですか?
一分間ぐらい考えてみてください。
「神様の行動が見てて面白いから」とか「世界観に惹かれるから」、「ロマンがあるから」など、いろんな答えがあると思いますし、あっていいと思います。
かくいう私も、最近はすっかり北欧神話に嵌ってしまって(エルデンリングとかエルデンリングとかエルデンリングとかの所為)、就活しなきゃいけないのに、脳内は北欧神話7:就活3の状態です💦
それはともかく、人それぞれに神話に惹かれる理由があると思います。
じゃあ仮にですよ、クリエイターがその需要に目を付けて、神話的要素だけを使ってゲームやらストーリーにして発売したら、売れるでしょうか?
いや、答えなんか知らないですよ。ただ、GOWみたいな大人気シリーズにはならなかったでしょう。(認知度が低い日本でこんなこと言ってもアレですが・・・・・・)
なぜか。それは「誰も神話を心からは求めていないから」
「いやいやいや、私は神話好きでっせ。北欧のフレイ神の豊饒さ、特に男根しか頭にありません!」
・・・・・・ごめんなさい、ちょっとふざけましたw上記みたいに極端でなくても「学校や仕事のこと考えるよりは、神話のことを考えたい」って人はいるでしょう。
確かに、暇つぶしや、ゲームの元ネタとして興味がある人がいる。
けれど、所詮その程度です。
別に悪いって言ってる訳ではないですよ。
ただ、自己の実存的根拠を神話に求める人はほぼいない。
神話の宇宙創成論や終末論を解きほぐすことで、なにかを悟り、明日からの生活が変わる! なんて人は滅多にいない。
そういう意味で、現代とは、誰も神話を求めていない時代なのです。
だって、「これがご先祖様の活躍や!」って思いながらギリシャ神話読んでいる人なんていますか?
「俺も戦死して、いさおしの誉れを手に入れて、ヴァルハラに行きたいぃいぃいぃぃ!」「ラグナロクに向けての心構えを固めるゾイ!」と思って北欧神話読んでる人なんてほとんどいないでしょw
いや、推測ですよ。もしかしたら、研究者とか神話学者とかガチファンなら普通にいるかも知れないですよ。
ただ、そうだとしても、一般ピーポーは、少なくとも日常生活を送る上で、神話をそこまで必要としていない。
そういう意味で、神話を扱う作品を売り出すことは、難しい。
例えば、ゴリゴリの神話のモチーフ詰め合わせた、ガチの作品を作ったとしましょう。
聞いたことのないような神名、武具を出して、神話の世界構造や輪郭も明らかにして、その神話を信じていた民族の慣習や価値観も取り入れる。まさに意欲作。
確かに学者からの食いつきは良くなるでしょう。
だけど一般人の反応はどうでしょうか。
「なんかよく分かんなかった」ってなるでしょう。
売り上げは伸びません。
要するに「どうでもいい話」で終わってしまう。
一般人にとって、神話は良くも悪くも「どうでもいい」のです。
「どうでもいい話」では、そんなに売れませんよね。
しかし、しかしですよ、
誰も神話を求めていない時代にあって、神話をモチーフにした作品を作って売り上げを成す。
この一見矛盾したことをGOWシリーズは成し遂げてきたのです。
10年以上の間!
なぜ?どうやって?
それを明らかにすることで、やがてはGOWの面白さを解明できると、私は信じて止まない。
注意:この下の枠は、込み入った話をするので、読まなくても結構ですよ♪
「神話的要素と現代的要素」まで読み飛ばしてください🎵
友人にこの記事を見せた感想がこちらです。
要点は
①神話によって実存的根拠を得る人はいる。(キリスト教徒とか)
②神話は人間一般のアイデンティティの確立に貢献しているはず。
確かに、ある程度おっしゃる通りだと思います!
結局私は、「誰も神話を求めていない時代にあって、神話をモチーフにした作品を作って売り上げを成す。」という一文を言いたいがために、それまでの記述を積み重ねていったんでしょうね。
印象に残りやすいと思ったから。
①については日本人限定にするなら、私が最初に言ったことは、まぁ許容範囲内の記述だと思いますが、「GOW」のような世界的な作品を論じるにあたって、その方向で論を進めるのは良くない( ^ω^)・・・・・・。
悪あがきが許されるなら、敢えて申し上げますと、「人間一般のアイデンティティの確立」に神話は確かに影響しているかも知れないが、そのことを分かって神話を読んでいる人はどのくらいいるのか?
それは無意識的な欲求なのではないか?? って特に根拠もなく私は思っちゃいます(⋈◍>◡<◍)。✧♡
神話的要素と現代的要素
ここまで話してやっと仮説に戻れます。
すなわち「神話的テーマと現実的テーマの融合」という仮説
つまり、神話だけでなくて、現実的な要素やモチーフも取り入れているから売れるのだ、ということ。
言い換えるなら、時代も場所も遠く隔たった神話を、現代風にアレンジして馴染みやすくする工夫がなされているはず!
「なぁんだ、普通じゃないか」←そうですね、普通かもしれませんね。
でも、そう思いませんか?『進撃の巨人』だって、『終末のワルキューレ』だって、FGOの『Lostbelt No.2 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』も、『ヴィンランド・サガ』は・・・・・・どうかな?(←いや、自信無くすなよw)
要するに、
神話的モチーフを取り入れる一方で、読み手に寄り添ってくるテーマ性、己が身に切実に感じさせる問題提起を通じて、言うならば神話を現代的にアレンジ、解釈しているのです。
短く言えば、神話の現代化です。
『ゴッドオブウォー』(2018)
そこで、当面の考察対象を『GOW』(2018)に絞ります。
すなわち、『GOW』(2018)がどのように神話を現代化しているかという問い。
それを明らかにする。
しかし、それで終わりではありません。
『GOW』(2018)の続編として、『GOW ラグナロク』が11月に出ますよね。
この二つは、世界観構造やストーリーにおいて密接に結びつくはずです。
制作側も、それを念頭に作っていることは、『GOW』(2018)のトールのエンディングを見ても明らかです。
つまり、この二作品には、最初から想定されていた必然的繋がりがある。
であれば、二作品を一つのストーリーとして読み解くことも可能ではないか。
そうした繋がりの相の元に、私は二作品を考察しようと思うのですが、問題となるのは「どこに着目するか」。
欲を言えば、カッコ良さそうなテーマがいい、壮大な主題がいいです。
そこで、思い立ったのがラグナロク論
なんか難しそうですが、要はラグナロクがどう描かれているかに着目し、そこから解釈することです。
しかし、さっきも言いましたが、ただの神話の反復では売れない。
それはラグナロクも同じです。
ですから、サンタモニカさんがしっかり現代化してくれると信じてます。だってあのサンタモニカさんなんだから///(謎の自信)
まとめ
話がごちゃついたんでまとめます。
目標① 『GOW』(2018)が成し遂げた神話の現代化を分析
目標② 『GOWラグナロク』が行う、ラグナロクの現代化を通して、このゲームならではのラグナロク観を明らかにする。
以上! あとは、補足説明やらが続くので読まなくても大丈夫です!
ここまで読んでいただいてありがとうございました~(@^^)/~~~
あと付け説明
1、目標①は今月中(2022/10月)には終わらせたいです。
(たぶん無理!w)
2、目標とするのはストーリー(プロット)の考察であって、ゲーム性の面白さを追求する予定はない。
私は、ゲーム中のストーリーを重視し、それ以外のゲーム内要素(遊びやすさやゲーム性)についての考察は軽視します。
軽視すると言っても、全く無視するわけではないですよ。
ストーリー考察に役立つと感じたら、むしろ積極的に言及します。
3、以降の記事のあらましを予め書いておきます。ただ、必ずしもこの通りに進むわけではないです。
・主題:『GOW』(2018)はどのように神話を現代化したか?
①疑問点の明確化、仮説の提示(本記事はここ!)
②どのような方法で調べるか(方法論の説明)、キーワードの提示
③実際に調査(ここが一番長くなる)
④分析、仮説の検証、主題へのアンサー、次回への課題など
ここまでやって、『GOWラグナロク』に入ろうと思います。
Q&A
本記事もいよいよ終盤です。
ここで、今まで読んで来た皆さんが抱くであろう疑問に予めお答えしようと思います。
Qこんな記事誰が見るんですか?
A知らん! 需要は無いかもです。市場調査? なにそれおいしいの?
Q書いてるアンタは何者なんじゃい。神話を語る資格はあるんか!?
A普通の庶民です。神話学なんて専攻してません。大学では文学専攻です。
要するに、素人です。
資格は、無いでしょう。
矛盾や誤謬があるかも知れません。その時はぜひ教えてください。
Qそんなアンタが、どうやって北欧神話を語るんじゃい??
Aいろいろ本を読んで、学習しようと思います。
北欧神話それ自体については、
・『北欧神話と伝説』ヴィルヘルム・グレンベック、山室静訳、2009、講談社学術文庫
・『エッダー古代北欧歌謡集』谷口幸男、1973、新潮社
・『世界神話伝説大系29、30 北欧の神話伝説』松村武雄、1980、名著普及会
の四つを。
北欧神話の読解、解釈については
・『北欧神話の世界ー神々の死と復活』アクセル・オルリック、尾崎和彦訳、2003、青土社
・『北欧神話・宇宙論の基礎構造ー『巫女の予言』の秘文を解く』尾崎和彦、1994、白凰社
・『北欧学 構想と主題ー北欧神話研究の視点から』尾崎和彦、2018、北樹出版
の三つを参考にします。
以上は最低これぐらいは読んでおきますよ、という最低ラインでありまして、論の進み方次第で更に読む必要が出てくるでしょう。
その都度、読んだ参考文献を紹介していくつもりです。
何かオススメの本あったら教えてください!
Q神話の知識もない奴が、独学で語るんか?そんなこと不可能や。
A不可能かも知れない。だが、やるしかない。(謎の使命感)
他にも質問あったら、ぜひコメントしてください~!
『GOW』のこれについて書いて欲しい、調べて欲しいなど何でも結構です!
(ぶっちゃけ、GOWのどんな記事が需要有るのか分からねぇ・・・・・・)
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
May GOW be with you!
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