パソコン使用、あり?なし?ディスレクシアっ子の高校入試
ふつうとは違う方法での受験にチャレンジした15歳の春。
こんにちは。
4人の子を持つ母です。
それぞれの子の子育てで、いろんな経験をしてきました。
最後の、末っ子の高校受験がかなり特別で、知らなかったことの連続だったので、これから同じ道を通るかもしれない親子の方さんに読んで活かしてもらえたらいいなと思い、初noteで綴ることにしました。
ディスレクシア(読み書き困難)ご存じですか?
わたしは、うっすらとは知っていましたが、もっとはっきり分かりやすく表れる「困難」だと思っていました。まさか、わが子が14歳になるまで気づいてやれないほどに、見つけにくい「困難」だったなんて・・・
しかも、私、恥ずかしながら、大学時代は教育学部の「言語障害児教育教員養成課程」を出ているんです。
「そんなん、ド専門やん!」
「なんで、気づかなかったん?」
恥ずかしい・・・・・
でも、ほんとに、わからなかったんです。
せっかく、専門の教育を受けていながら、わが子の困りごとを見抜けなくて、わが子に何が起きているのかわからず ずっとずっと頭を抱えていた母と、
なんで自分は他のコと違ってこんなに学校で苦労することが多いんだろう?と人知れず長いあいだ困っていた息子の、受験体験記を、今から、書いてみます。
ディスレクシアには「いろいろ」ある。
まずは基本情報から。
「ディスレクシア」は、知的な遅れはないんだけれど、読み書きにすごく困ることが多い人たちのことです。人口の5~8%くらいはいるそうです。めっちゃ多くないですか????
いろんなタイプがあるらしく、
●文字が動いて見える
●文字が反転して見える
●音と文字が結び付きにくい
●書こうとしても枠の中におさまらない
●形をとらえて覚えることが出来ない
などなど。
学習障害(LD)のひとつと言われるみたいです。発達の凸凹と表現されることもあります。
わが子の場合は、読むことには困難がなくて、むしろすごく好きで得意。長い文章をとても早く読みます。
書くほうは、中学生になった時点で「ツ」と「シ」を書き間違えたりするくらい、形を覚えるのが苦手。
そんなに苦手だったら、もっと早くに気付けたのでは??
って思いますよね。自分でもそう思います。
「書くときはスラスラ書く」子だったんです。
たとえば、面白い文章を思いついたときなどは、わーーーっと生き生きと書き綴る、という場面もありました。
それでつい、「あ、書こうと思えば書けるんだ」「やる気の問題なのね」と思ってしまい、困りごとの発見が遅れてしまったような気がします。
「書こうと思えば書ける」なら、それは「障害」とは言えないんじゃないの?努力して、訓練すれば、いずれは克服できるのでは?
わたしもそう感じてました。そのうちなんとかなるよね~~~、と。
4人目(末っ子)だったので、鷹揚になってて、今は出来なくても本人のタイミングで成長するよーー、と思ってしまってました。
のちに、専門家である河野俊寛先生(当時星稜大学教授)に出会い、
「この子に書く練習をさせるのは、
車いすが必要な子に歩く練習をさせるようなものです」
と言われて、殴りつけられたようなショックを受けました。
自分のこと、ものわかりのいい親だと ちょっと思ってたけど、そうじゃなかった。
単にものを知らないだけだったんだーーー
書く以外の方法を、準備してやらないといけなかったんだ。
ごめんね。
小1から中2まで、しんどい7年半を過ごさせてしまいました。
中2の時点で、息子は、ほぼ不登校でした。
ひどい不眠症も発症していました。
起立性障害?もあったのか、午前中はほとんど寝ていることもありました。
そりゃあそうなりますよね。
学校では、毎日、毎日、書く場面ばっかりだもん。
他の子が1分で書き終わるものが、息子には、
全集中して、何倍も時間かけても終わらない。
徒歩の人を ほふく前進で追いかけるようなもんです。
やっと追いついたと思ったら、どんどん、まわりは先に進んでしまう。
わけもわからず、辛かったと思います。
それが、毎日、毎月、毎年続いた。
だけど、本人の性格なのか?自分の困りごとを親や先生にうったえることはまったくありませんでした。
いつもニコニコしてて、機嫌のいい子で、
なんにでも積極的で、素直で、なんでも面白がる子で、元気で、友達もいて、家ではお手伝いもいっぱいやってくれて、ただ、宿題だけは頑として拒否する。
なんで宿題だけはぜったいNGなのか?
どんなに励ましても叱っても、断固拒否。
理由はわからなかったけど、他に困っている様子がなかった(親には見えなかった)ので、先生には
「宿題はやらないけど、大目にみてやってもらえますか?」
というふうに伝えていました。
なにかしら理由があるんだろうな・・・とは思ったのですが、何かはわかりませんでした。
あとで考えてみたら、学校で、書く場面で疲れ果て、家に帰ってまで「書く」は、とてもとても無理だったんだな。
振り返ると、納得がいきます。
ちなみに、「気持ちが乗ればスラスラ書く」ように見えたことにも、理由がありました。それはまた後で触れますね。
どうでしょう、わが子とおなじタイプのディスレクシアのお子さん、他にもいますでしょうか?
ちなみに、わが子のような、読みには困難がないけれど、書くことが特別むずかしい、というタイプは「ディスレクシア」の中でも 「ディスグラフィア」と呼ぶらしいです。
「障害」と呼んでいいのか?
息子の困難と向き合う過程で、ずっと抱えてるモヤモヤ。それは、ディスレクシアを「学習障害」と呼んでいいのか?ということ。
ディスレクシアに限らず、学習障害と呼ばれる状態 すべてに同じ話なのかもしれませんが、
この子たちは、単に、「他の子に比べて出来ないことがいろいろある」子、なのか?
そうではない、別のとらえ方があるのではないか?
という思いが、少しずつ大きくなり、いまは私の中で「確信」になっている部分があるんです。
この投稿は、なが~~~い話になりそうで、たぶん8回くらいにわけて書くことになると思うのですが、
「こんな障害があって苦労しました」という話ではなく、
「こんなにも、可能性のある、おもしろい子たちが、人口の5-8%もいる!」「この子たちがやりやすい教育環境をつくることが出来たら、社会のいろんな問題の解決にもつながるんじゃないか?」
という希望と願いを書く場になる予定です。
ある程度は、同じ、ディスレクシアのお子さんを持つ親御さんへのノウハウにもなってほしいし、そうでなくても、人の脳の多様性や よりよい学習環境づくりに興味のある方にも読んでいただければ嬉しいです。
最終的には、私たちの住む県では初めてとなる
「PCを全面的に使用しての高校入試」を申請した話になるのですが、まずは、そこに至った経緯を聞いていただきたいので
次回は、
小学校時代に何があったか?
どうしたら困りごとを避けられたんだろう?
を書いてみたいと思います。
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