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なぜ今年の甲子園で強豪校が勝てないのか?【高校野球】

  • 大阪桐蔭 夏の大会で初めての完封負け

  • 報徳学園 わずか1得点で敗退

  • 健大高崎 わずか1得点で敗退

  • その他、花咲徳栄、智辯和歌山などの敗退

今大会、優勝候補が早々に敗退したことが話題のひとつでした。
しかも相手は公立高校など戦前に注目されていなかった高校。
新基準バットの影響はもちろんありますが、
僕なりにこれからの高校野球の勝ち方について書いてみました。

あくまで素人目線での考えですのでそこはご了承ください。


なぜ打てないのか

打っても単発。
連打が少ない。

新基準バットの影響が大きいですが、

特に遅いボールが打てない。

遅いボールをしっかりとミートできていない
遅いボールを引っ掛ける選手が多い
という印象です。

強豪校の選手は、速いボールの対応力は群を抜いています。
バッティングマシンで、質・量ともに徹底的に鍛えることができています。

でも実は、遅いボールって練習しにくい(できない)んです。

なぜなら
遅いボールは、その投手の個性が詰まったボール
だから。

遅いボールで成功しているプロ野球選手はたくさんいます。
與座海人(現西武)、辛島(現楽天)、佐藤奨真(現ロッテ)、松葉(現中日)、石川(現ヤクルト)、野村(現広島)

山本昌(元中日)、星野(元阪急、阪神)、渡辺俊介(元ロッテ)、
高津臣吾(元ヤクルト)

など
プロでも遅いボールを武器に勝てる投手がいるのです。

そしてどのピッチャーも個性ある変化球を持っています。
そして決して速くない速球を上手く利用して組み立てます。

しかも、速いボールは交通事故的に飛ばされるリスクもあります。
反発係数が高くなるからです。

今回のどの強豪校もこのパターンでやられています。
負けた相手のどのピッチャーも決して有名な速球派ピッチャーではありません。

これから必要とされるピッチャーのタイプ

まず、今大会で活躍しているピッチャーには特徴があります。
これから活躍を目指すピッチャーは参考になるかもしれません。

コントロールに自信があるピッチャー

コントロールに自信があるとは、
スリーボールからでも変化球で確実にストライクが取れる
ぐらいのレベルです。

それぐらい精度あるピッチャーを目指しましょう。

コントロールをつける練習は、ブルペンで速球を何球も投げて肩肘を壊すリスクもありません。

指先の感覚を養う練習です。毎日でもできます。

カットボール、カーブは必須

この2球種をストレートと同じフォームで投げれなければなりません。

カットボールは、新基準バットに有効です。
皆このボールで凡退してました。

カーブはストライクゾーンの奥行きを利用できます。
新基準バットは芯が狭い。
左右、奥行きに合わせてジャストミートするには技術が必要です。

カーブをしっかり打てるバッターは少なかった印象です。

ストレートは球速よりもキレ

今大会で成功しているピッチャーを見て一番強く感じた部分です。
ストレートのキレは、精度の高いカーブを投げるための練習を続けることで身についてきます。
カーブ練習は手首の使い方が上手くなるメリットがあります。
ストレートのキレを上げるためにはカーブの練習をお勧めします。

フィールディング、牽制の上手さ

今大会で強豪校が負けた要因にバントミスの多発があります。
勝利しているピッチャーは、皆フィールディング、牽制が上手い。
これからも増えるであろうタイブレーク時の最初のバント処理に超重要です。

これから必要なバッターの考え方

ではバッターはどうか?

バント練習をして下さい

バントの失敗が目につきました。
タイブレーク制が導入され、バントの重要性が高まりました。
にもかかわらず決められない。

タイブレーク(ノーアウト ランナー1,2塁)で3塁側にしっかり転がせなかったり、相手シフトに阻まれたり。
サードがチャージしてきた場合、セカンド方向プッシュバントに切り替えるプレーができる選手はほぼいませんでした。

このバント切替は、日々の練習で身につきます。

遅いボールをジャストミートできること

今ままでの金属バットでしたら速いボールにバットをぶつける感覚でボールは飛んでいきました。
しかし新基準バットの芯は小さく、バットも細い。
速球への対応だけでなく、
遅いボールにしっかりとバットを入れていける技術
が必要となります。

今どき「フライボール革命」をしている選手は少数派でしょうが、新基バットでは、木製バットの様にしならせる感覚が必要です。

高校野球が、よりBaseBallから野球に近くなるようで個人的にはうれしいです。

走塁の重要性が高まる

主力のバッターのホームランで大量得点を目指す野球は変わります。

今大会では、強豪校であるにも関わらず雑な走塁をしているのをいくつか見ました。

走塁の意識
ってどこの高校でも言われているのですが、実は一番徹底できていないところです。

  • 本塁でクロスプレーアウトになったのであれば、その前のリードを疑ってみる。あと20㎝リードが取れていればセーフだったはず。

  • 1塁ギリギリアウトだったらスイング後からスタートへの動きにこだわってみる。

  • コーチャーズボックス選手の仕事は?投手の癖、相手内野手の守備位置の癖を誰が盗む?

  • スピードの落ちないスライディングの徹底はできているか?

などなどキリがないです。

でも本当に強豪校でも徹底できていないです!!
それで負けてます。

積極的な走塁と暴走の違いを知らない

積極的な走塁とは、確かな練習量に裏打ちされた確実に次の塁を奪う走塁です。
暴走は、、相手を下に見たただの自己満足の走塁です。

今大会、残念ながら後者の走塁をしている強豪校がありました。
僕が監督ならベンチで叱ります。

日々、謙虚に鍛錬を続けましょう。

これからのチームに必要なこと

戦略も一考必要です。

データ担当の育成

相手チームのデータ収集が大きな武器となる時代になります。
チームによっては既にデータ担当の部員を抱え始めているのはこのためです。

  • どんな変化球を投げるのか?

  • 配球は?

  • バッターの好きなカウントは?球種は?

  • いつ走ってくる?

  • 打球の方向性は?                           

データが超重要になる時代です。
データ活用したAIバッティングマシーンも出始めました。

ますます野球が科学化していきます。
優秀な頭脳集団がいるかどうかが勝敗のカギを握ります。

楽しくなってきました!

タイプの違う投手の育成

ずばり、左投手とアンダースローの育成を進めましょう。

今大会、左投手で、球速が無くてもキレ有るボールを右打者内角に投げ切れているピッチャーは成功しています。
アンダースローは今大会で見られませんでしたが、
下手投げで速い腕の振りから遅いボールを投げ込めれば確実に成功できます。
特にアンダースローは上手投げに比べ肘肩への負担も少ないため、練習の球数も多く設定できます。

エースになれなかった、投手でも野手でもベンチ入りできなかった。
このような選手は是非アンダースローに挑戦してもらいたいです。

僕の経験上、どんな選手でも2~3か月あればストライクを楽にとれる投手の育成は可能です。
是非チャレンジしてみてください。
貴重な選手になれます。

時には厳しい練習も必要

今大会は接戦が多くなりました。
これからもタイブレークでの勝敗は増えるでしょう。

ここで必要なのは
強いメンタル
です。
今大会躍進した大社高校(島根代表)は、
週に1,2度「昭和の日」と銘打った厳しい練習日を設けているそうです。
泥だらけになって、捕れるまで終わらないノックをしているのだとか。
強いメンタルの必要性を考えての事です。

選手たちもこの練習で精神力が鍛えられていると自信を持っています。

昨年優勝の慶応高校。

選手の自主性や自由性を重んじた高校が優勝しました。
非常に良い傾向です。僕も自主性や自由性を大切に選手育成を行っています。
しかし、自主性、自由性だけが独り歩きしてしまうチームは強くなりません。それはほったらかしです。
選手はまだまだ高校生。
どこかで厳しさも必要です。

自由さ、楽しさ、厳しさ

このバランスが絶妙にバランスできたチームが強くなるのかもしれません。

大社高校の躍進はそんな思いにさせていただきました。
(補足:大社高校は自主性、自由性も尊重されていました。素晴らしい高校、指導だと感じました)

まとめ

強豪校が今までの方法だけで勝つ時代は終わります。
時代は必ず変化していきます。
もちろん強豪校も対策をしてきます。

今大会を見ていると、当たり前のことを当たり前に実践(走塁、バント、守備、投手のコントロール)できているチームが勝っています。
そういう意味では、時代を読み、きちんと対策してきたチームが今後も勝ち上がっていくのではないでしょうか。

これからの高校野球も面白くなりそうです。

今回はここまで。
読んでいただきありがとうございました。

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