アイリッシュマン
いやはや、なんとも驚くべきことに、Netflix独占配信である。
マーティン・スコセッシの最新作「アイリッシュマン」のことだ。当初はパラマウントで制作を予定していたそうなのだが、制作費が1億ドルを超えるというので、パラマウントは手を引き、Netflixが引き受けた経緯がある。
これを機に、Netflixを契約する人も、相当数いるのではないだろか。
もちろん映画は、劇場で観るのが一番だが、この作品、なんと3時間30分の超大作である。3時間30分。俺ぐらいのレベルになってくると、その間に少なくとも2.5回はトイレに行くだろう。その点、Netflixなら、その都度、一時停止をすれば済む。コーヒーをガバガバ飲みながら、三時間半を過ごすことができるわけだ。むしろ逆に、コーヒーの利尿作用が、心地よくさえ感じるほどだ。どんな大作映画でも、なにも恐れる必要はないのだ。
俺のプロジェクターは、まるで働きバチのように、今日も休むことなく、稼働する。
映画の冒頭で、「家をペンキ塗りする」という隠語が使われるのだが、Netflixはまさに、赤いペンキでNの文字を、この映画に塗ることに成功した。
DVDのレンタル業者からスタートし、世界最大のレンタルビデオチェーン店であったブロックバスターを倒産に追い込いこんだNetflixは、これまで映画制作会社からコンテンツの配信権を買っていたが、近い将来、Netflixが自社コンテンツの配信権を逆に売るということが、起こるのではないだろうか。その可能性は、かなり高い。