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箏曲の作詞家でもあった皆川淇園
『皆川淇園とその仲間たち』 第1回
皆川淇園(みながわきえん)は江戸時代の儒学者です。「有斐斎弘道館」の地で学問所「弘道館」を設立した人で、儒学者としてだけではなく、書画にも優れた風流人でもあったと言われています。歴史に疎い私にとっては、大河ドラマにも出てこないし、どんな人だったのかイメージしにくいなぁと思ったりします。
そんな「知る人ぞ知る」皆川淇園ですが、筝曲の作詞家としての顔もあったそうです。今回は皆川淇園の作詞した地歌筝曲を一曲ご紹介します。
夜々の星
作詞:皆川淇園、作曲:光崎検校
王櫛笥、ふたたび三度思ふこと、思ふがままに書きつけて、見すれど海女のかづきして、苅るてふ底のみるめにも、ふれぬをいたみ頼みにし。
筆にさへだに恥かしの、軒のしのぶに消えやすき、露の身にしもならまほし。ならまく星の光りすら、絶えてあやなくなるまでも、八夜九夜と思ひあかし、雲井をながめすべをなみ。袖の雫に堰き入るる、硯の海に玉や沈めん。
好きな人に手紙を送ったのに返事がない。片思いの恥ずかしさと惨めさで、毎夜星を眺めて暮らしていたけど、そんなことではダメだ、と涙を硯に溜めて、その涙で墨をつくって、もう一度手紙を書こう、という女の子の心境を歌う。
キエン先生、こんな乙女心が描けるなんで、憎いですね。
You tubeでは演奏も聞けるので興味のある方は聞いてみては。
(勝治 真美)
【2014.1.15 嵯峨野文化通信 第191号】弘道館メールマガジンとして配信されたものです。