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【いまさら人に聞くのは恥ずかしい…】実は意外と知られていない作品応募に関する知識Q&Aその1(2018年1月号特集)

Q30:文章系の公募では表紙は必要ですか?

 付けたほうがいいです。付ければ本文が1 行目から始まり、行数計算もしやすい。1枚の作品に1 枚の表紙は大げさですが、5 ~1 0枚以上なら表紙を付けて。もちろん、表紙は作品枚数に数えません。表紙にはタイトルと氏名(またはペンネーム) を。複数の文学賞を持つ主催者のときは「第30回小説大賞応募作」のように添え書きすると親切。個人情報は表紙には書かず、作品末尾にページを分けて添える(規定があれば規定を優先してください) 。

Q31:マス目つきの原稿用紙を使ってはダメですか?

 「二十四の瞳岬文壇エッセー」では、ワープロ原稿の場合、原稿用紙設定を指定している。
 「原稿用紙設定をする以前は文字が極端に小さく読みづらかったです。また字数、行数がバラバラで、文字数を確認する作業に手間取りました」(岬の分教場保存会)
 短編は原稿用紙設定でOKです。長編の場合はそれでは枚数がかさむので40字x30行などにし、この場合は無地の用紙を使います。

Q32:書式設定で、これはN G というのは?

 N G なのは、字間、行間の取りすぎ。以下、書式の標準。
 字の大きさは10.5pt ~ 1 2pt ぐらい。字送りは字と同じ大きさに。行送りは字の1 .5 ~ 2倍。余白はなりゆきでいいですが、30mm ほど空けたい。

標準原稿用紙の書式

  • 行数30行、行送り21.75pt

  • 文字数40字、字送り10.5pt

  • 余白上25㎜下36.8㎜、左30㎜右36.8㎜

Q33:400字詰原稿用紙換算枚数とは?

 400字詰換算枚数というのは、400字詰原稿用紙、つまり20字x20行の設定で実際に書き直したときの枚数という意味。応募要項に「書式自由。ただし、400字詰原稿用紙換算枚数を明記」とあった場合、字詰めや行数はなんでもいいが、20字×20行で書いたときの枚数を書いてくださいという意味。

 このとき40字×30行=1200字で3枚分と計算しないこと。20字x20行で書き換えた場合、40字x30行のときはあった20字以上の空白が消えて行数が減り、3枚弱になるはずです。400字詰原稿用紙の換算枚数を出すときは、計算では出さず、画面上、便宜的に20 字x20行にしてみて、最後のページ数を見ればわかります。

Q34:○字以内というのは空白を含む?

「純粋に文字と記号の数」(愛するあなたへの悪口コンテスト•50字以内)
「空白も含みますが、ハガキの場合は文字数のみでカウントするしかできないです」( ちょっとてれくさい孝行のメッセージ・70字以内)
「どちらでもかまいません」(芥川龍之介恋文大賞・ 600字以内)

 字数が短い場合やハガキの場合は純粋に文字と記号の数。原稿用紙の場合は空白を含むと考えればいいでしょう。
 なお、WEB小説には原稿用紙という考え方がありませんので、0字以内とだけあるのなら空白は含みません。

Q35:封書でまとめて応募してもいい?

 シンボルマークなどアート系の主催者5団体に取材しましたが、すべて「封書でまとめて応募OK」でした。また、文章系の公募も聞いてみましたが、問題ありませんでした。
「それぞれのハガキに連絡先等の必要事項が記入されていれば問題はありません」(健康(セルメ) 川柳コンクール)
 作品だけまとめて必要事項は1 つとなると、バラバラになったときに困ります。それぞれに必要事項を書いてください。

Q36:アート系の公募で注意することは?

 絵の具を使っている場合、完全に乾く前に封入してしまい、封筒に貼りついて開封時に破けることがあります。意外と画用紙を折る人、丸めて応募する人もいますが、無効にはならないものの、印象を損ねます。封入の際、のり付けし、作品ごとのり付けしてしまう例もよくあります。応募するときは封筒に台紙を入れ、封筒の表に「折曲厳禁」と赤字で書いておくといいでしょう。ただ、あまり過度に厳重に梱包する必要はありません。

Q37:デザイン公募で、手描き作品を写真で応募してもいい?

 作品は手描き、しかし、WEBからの応募しか受け付けていない場合、写真で応募するしかありませんが、どの主催者も基本的にOK でした。
「規定の応募用紙に手描きしたものであれば、受け付けることができます。写真が見きれていたり、不鮮明の場合は受付不可とする場合があります」(姫路市文化国際交流財団ロゴマーク募集)
 写真に撮った場合、現物の再現性が問われます。ピンボケやゆがみなどがあると審査のとき不利、または無効になりますので注意を!

Q38:デザイン公募で、用紙自由のときf どんな紙がいい?

 用紙自由であればどんな用紙でもかまいませんが、デザインをするのであればケント紙や画用紙など、ある程度の強度があって絵の具がにじまないものに。自由とはいえ、大学ノートやチラシの裏などはやめましょう。なお、応募用紙を使うことが義務づけられていて、なおかつ応募用紙をWEBからダウンロードしなければならない場合は、各家庭のプリンター内にある上質紙を使うことになります。

Q39:応募用紙はなぜWEBから入手なんですか?

 WEBの環境にない人からすると、「専用応募用紙を使用すること。応募用紙はWEBからダウンロードできます」は不便のような気がしますが、主催者はそのほうが便利だと思ってやっているわけです。パソコンをお持ちでない人を排除しようという意図でやっているわけではありませんので、「専用応募用紙はWEBから入手する必要があるが、応募自体は郵送可」の場合は、主催者に請求すれば送ってくれるはずです。

Q40:データの写真はトリミングや不要物除去をやっていいものですか?

 デジカメの普及により、最近はプロでなくても簡単に写真の修正ができてしまいます。コンテストの応募要項を見ても、データの加工や修正等について制限をしていないコンテストが一般的になっています。逆に言うと、修正、加工することが前提となっているので、よい作品にするために手を加をるのは撮影技術として評価されることにもつながります。主催者にどこまで許されるのかを尋ねると「あくまでも程度の問題で、極端なもの以外はOK」との回答が返ってくるのですが、逆に何が審査失格となるかは審査員の判断次第です。

 もう少し具体的に書いていきます。
 トリミングや明るさ、色の調子を整えるなどの作業は可だと思います。極端なものを除き、その場で取り合わせたものの合成も制限されていないケースがほとんどですが、背景と被写体が全く別のところで撮られたものを合成するのは失格となります。また、存在するはずのものを「ないほうがよいから」と消してしまうのはNGです。

 とあるコンテストで、夜に撮影した風景写真を昼間に修正した作品が見事入賞したことがあります。かなり大きな修正、加工を入れているのですが、入選理由としては「モチーフをよりよく見せるための表現技術」が評価されたようです。作品をどう表現するかは、まさにその人の感性によるもの。自分の感性を大切にしつつ、基本に忠実に、あくまでも作品をよりよいものにするために加工や修正技術を使っていく、というのが基本スタンスと考えるのがよいかと思います。

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