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【内容が良くても評価が下がる?!】うっかりミスに気付くための文字校正・校閲法


STEP3:文を読まずに文字を見る

 STEP3でやることは、文字校正および校閲です。誤字、脱字、誤用はないか、助詞(テニヲハ)、送り仮名は間違っていないかなど、一字一句を確認していきます。

誤字や誤入力は物書きの恥

 最後に誤字、脱字などの細かなチェックをします。細心の注意を払い、一字一句見ていきましょう。

本当にそれでいい?意外と多い誤用

 誤用とは、正しい意味とは違う使い方をしている例です。
 たとえば、「議論が煮詰まる」。
 これは議論がまとまって結論に近づくという意味。「さわり」は、曲の聞かせどころ。曲の最初ではありません。「おもむろに」はゆっくりとの意。「急に」という意味ではありません。
 なかには誤用が一般化して正解になっているものもありますが、「本当にこれでいい?」と思ったら辞書にあたる。そうすればミスも発見できますし、なにより知識が増えます。

一字一字見れば、誤字を発見できる!

 手書きで漢字を書く場合、間違って覚えていたり、記憶があやふやだったりすると、「絶対絶命」なんて誤記をします。もちろん、「絶体絶命」が正解。
 逆にワープロ原稿の場合は、正解を知っていても誤変換をしてしまうことがあります。自分では漢数字の「二」を選択したつもりなのに、パソコンの操作を誤ってカタカナの「ニ」を入力してしまう。
 こうした誤字を見つけるには、〈絶対絶命だった。〉と文章として読むのではなく、一文字ずつ絵として見ていく。それがコツです。

素人ほど無頓着。表記は統一せよ!

 原稿の中の表記は、統一します。
 ここでは「終わる」と書き、こっちでは「終る」、またこっちでは「おわる」では、表現が雑と思われます。
 もちろん、用法や品詞が違うので表記も異なるということはありますが、それ以外のケースでは同じ表記にしましょう。
 表記を統一するには、ちゃんぽんになりそうな言葉が出てきたらメモしておくこと。
 そして、用法や品詞の違いについては、必ず用語用字辞典で確認すること。これに尽きます。

同じものが続くと変な感じ!

 文法的には誤りとは言えないものの、いかにもお粗末という例を挙げます。

同じ言葉、表現を近くで使うと稚拙!

 〈重複していると指摘されるまでは重複に気づかなかった。〉
 「重複」が重複しています。
 〈帰宅したとき、家の中が変だと気づき、ベランダに行き、窓が開いていることに気づいた。〉
 一つの文の中に「気づく」が二つあるのが気になります。
 こうした書き方をすると、いかにも稚拙という印象になります。
 ただし、「同じ言葉、同じ表現」をしないのも難しいもの。ですので、「なるべく使わない、少なくとも近くでは使わない」というスタンスでOKです。

「〜の〜の」の連続は、二つが限界

〈僕の昨日の夕食のメニューはとんかつだった。〉
 助詞の「の」が三つ続いています。二連続はいいですが、三回は避けましょう。
 これを修正するには、「僕の昨日の夕食のメニュー」のように名詞で書いていたところに動詞を持ってくるといいです。
 「僕が昨日食べた夕食のメニュー」のようにすれば、「の」が一つになります。

何を示し、どこに係るか

「これ」とは具体的にはどれ? 「この副詞は何を修飾するの?」といった例を挙げます。

「あれ」「これ」「それ」とは具体的には何を指す?

「あれ」「これ」といった言葉をこそあど言葉、または指示代名詞と言います。言葉の重複を避けたいときには便利ですが、使うときは何を指すかを明確に。
〈弊誌は半年の準備期間で創刊させる予定でしたが、システム開発やサービスの導入でつまずき、それは半年遅れの一年後でした。〉
こう書くと、読み手は「それって何?」と考えなくてはいけませんね。「創刊は」と具体的に書いたほうが親切です。

「とても大きい?」「とてもできない?」

 「まず」や「もちろん」など文全体に係る副詞は文頭に置きます。
 しかし、「とても」など程度を表す副詞は、修飾される言葉の直前に置きます。
〈とても長くて、書けない。〉
 係り受け関係は、「とても↓長い」です。
〈長くて、とても書けない。〉
 こちらは「とても↓書けない」。位置によって意味が変わります。

これを知らなきゃ最後でつまずく!

 書き直しも終わりに近づきました。ここでは、推敲を終えるにあたって知っておきたいこと、「原稿を寝かせる」「推敲するときの条件を変える」「終わりを見極める」という3点を紹介します。

寝かすことも推敲のうち

 書いた原稿をそのままにしておくことを「寝かす」と言います。
 寝かすのは、頭を冷やし、冷静になるためですね。
 一文の表現にこだわり、細かな修正をしているあなたは、いわば森に分け入った状態。ミリ単位で枝ぶりを調整するのにはいいですが、その状態では森のありようはわかりませんから、作品から距離をおいて第三者的に見ます。それが原稿を寝かせる目的です。

 寝かせる期間は6週間という作家もいますが、時間がなければ1週間でも3日でもいいです。
 最悪、1時間でもかまいません。要は原稿のことをいったん忘れればいい。テレビを観るなりゲームをするなりして1時間ほど過ごし、初めて原稿を読むつもりになって読み返す。わずか1時間でも頭は切り替わります。

これが最後の最後、条件を変えて推敲!

 同じ原稿を何度も読むと慣れてしまいますので、そんなときは何かを変えて読むといいです。
〈用紙を変える〉パソコンの人は、プリントして読みましょう。
〈場所を変える〉自宅で推敲していた人はカフェ等に行って!
〈時間を変える〉夜に推敲していた人は日中に読んでみて!
〈字詰めを変える〉パソコンの人は字詰めを変えてみましょう。意外と誤字を見つけたりします。

 それから、やはり一人では限界がありますので、家族や友達に読んでもらうとベターです。
 あるいは、(料金はかかりますが)プロの校正者に見てもらうという手もあります。
 いずれにしても誰かに見てもらえばきついだめ出しがあるかもしれませんが、それは当然あるものと覚悟して依頼しましょう。

これでおしまい!どこかで決断を

 推敲の目的は、「書きたかったこと」と「書かれている原稿」のズレを埋めることです。
 それは大きな部分ではテーマの修正でしょうし、小さな部分では「『仏頂面』と書いてしまったけど、あの顔は『しかめっ面』と言うべきか」といった表現上のズレの修正でもあります。

 勘違いしがちなのは、その作品で書きたかったこととのズレではなく、究極の理想とのズレを求めてしまうこと。
 その作品で追求できることと、できないことがあります。分を越えた理想を求めすぎると永遠に終わらなくなりますから、どこかで終わりにしないといけません。境目は、その作品としての完成度100%はどこかという点と、作者自身にやりきった感はあるかという点ではないでしょうか。

他のステップが気になる方は以下を参照!
特集「その文章が劇的に変わる最後のひと手間」
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