【激務のシンママ/サバイブコラム】忙しくても7万字書く!(3)「書く私」の継続術【地図井式】
なにかを書きたい欲はゲームでは満たされない
アラフォーライターの地図井です。引き続き執筆ライフを続けています。
とはいえ、落選が続いて凹み、何も手に着かないこともあります。ほかのことに目移りして全く一文も書かないことももちろんあります。
最近は名作のゲームリメイクが乱発されており、青春時代を共に乗り越えた某ゲームが美麗なグラフィックで蘇るなど、私の執筆ライフを妨げる誘惑だらけです。リメイクもので郷愁を満たし、オンラインで勝ちを競いあい、コレクティブに実績解除していく、仕事をしていなくても、特になんの受賞も褒賞もなくても、私の欲はほとんど全てゲームが満たしてくれています。
とはいえ、何か産みだしたい、なにかを書きたいという欲だけはゲームで満たされず、色々工夫してここまでやっと戻ってこられました。
これまでのコラムでは、時間と戦い、自分と戦い、といった少し武闘派な内容が多かったかなと思い、今回はゲーム漬けの自分も思いながらやや甘めの内容になりますが、書けない時をどう越えるかの工夫を共有したいと思います。
執筆ログインボーナスの設計
ログインボーナス(=ログボ)とは、ゲームされる方はよくご存知かと思いますが、ゲームにログインをして、または簡単なタスクを行うだけで、ゲーム上のメリットがあるアイテムがもらえるというものです。なぜ私はこの単純な作業ゲームに毎日ログインしてしまうのか。
それは、毎日ログインした時のボーナスが7日たまれば欲しいアイテムが手にはいるからです。その時の音とスマホの振動がなんともいえず気持ちよく達成感があるからです。毎日のログインは単純作業的でつまらなくても、それが7日継続されたときに得られるものにメリットがあると、よく考えたらゲームの中にしか価値がないはずなのに、気持ちよいので続けてしまう。
現代のゲームは人の欲と行動を研究しつくされていて、脳が快と感じることをダイレクトに刺激する設計をしています。執筆にどうしても向き合えない時、(または仕事したくないとき)私が参考にしたのはこれです。
初動は軽く、できるだけ気持ちよいことを、そして何日間か継続したときに、自分で達成褒賞を決めておき自分との約束とする、まずこれをクリアすることを目指します。
毎日、自分が創作に向き合うことの滑り出しとして、必要な行動の一番最初を設定するため、初動の行動は敷居を低く軽いものにして、例えば「創作用のノートを開く」でOKです。ここは自分に大甘で大丈夫。書き始められなくても、とりあえずログインした、という事実でカレンダーか手帳かアプリ(できるだけ可視化できた方がよいです)に記します。
それを幾日か継続したら褒賞を手に入れられるようにし、例えばチョコレートなど甘いものが好きな方であれば、単価が高めのチョコレートをログインボーナスとして毎日自分に与え、月~金の6日達成で日曜日には次の週のログインボーナスとしてのチョコレートを買いに行ける、という風に設定するなどします。
ちなみに私は、ナチュラルローソンに浪費しに行くことが経済的にも時間的もちょうどよい贅沢にあたるため、ナチュラルローソンで所定金額のログボを探すことができる、ということを褒賞として、そこで選んだ新商品を翌週ログボとして消費することで、毎日のログインをなんとか乗り切りました。
創作にとりかかるまで時間がかかるんだよなあ、という人にはおススメです。
他人の目を用意する
とはいえゲームのように毎日クリアのたびに気持ちよい音が出るわけではありませんし、ご褒美も結局自分で買わねばなりませんし、自分に甘くしようと思ったら特に連続達成していなくても達成褒賞だけを買うことも可能です。相当自分に厳しい人であれば、自分との約束を守ることができるのですが、自分との約束だけを守り続けることは容易ではありません。
なので、別に誰でも良いと思いますが、自分の進捗を「見ている目」を用意します。これはリアルに生活を共にする人、という意味だけではなく、リアルでもオンラインでも良いと思います。作業通話など募集しているSNSも昨今では多いですが、これも他人の目としては有効です。自分が自分との約束を守れるように、他人の目を巻き込むことはとても重要です。
書いている自分、向き合っている自分を共有し見てもらえる環境を作ることに取り組んでみると意外と続けられます。
仕事や部活や家庭など惰性でなんとなく続いていることがらが世の中に多いのは、そこに他人の目があるからです。何かが毎日はかどらないのは、その物事や自分が悪いからではなく、そこに自分を見ている自分の目しかないからです。
誰かが見ている、を入れてみると意外と物事は進みます。他人の目を気にするなとはよく言われますが、他人の目を気にして自分のやりたいことを抑えるのではなく、他人に見られている、という環境を利用して自分のやりたいことをやるので、他人の目を気にするのではなく活用する気持ちを持つのがよいかもしれません。
私は書くものがあるときは朝に書くことが多いのですが、LINEのオープンチャットで朝書けた報告だけをしあう会があり、「今日書けた!」と言って報告しては褒めあうグループになっています。
名前ももちろん知りませんし、みなさま何を書いているか知りませんが、お互いに書けた/書けなかっただけを突っ込みあうシンプルな関係になっていて私にはあっているなと思います。
Kouboのサイト内SNSの「つくログ」もそんな他人の目の場所としてはとても良いと思います。物理的にリアルだと関係性の変化や相手が得られる時間などで規定されてしまいますが、今ある自分の周りにあるものや人と使えるツールを使って、他人の目を入れるという観点で一度、自分の周りの目を整理してみるとよいと思います。
ログボと他人の目、これを入れて自分の継続したい行動をコントロールしたいところです。
「書く私」を無理なく継続したい
メンタルトレーニングの前回記事も同じようなことを書きましたが、自分自身に何をあげたらもっともモチベーションが上がるのか、上記のログボのように、自分のモチベーションを最大出力で発揮するためにはどんな環境や時間や条件が必要なのか、ということを把握することも重要です。
それは他人のそれとは違うので自分にしかわかりません。一般常識と少し外れている物もあるかもしれないですし、脳や筋肉にとって良いとされているものを参考にしてもよいと思いますが、なんにせよ、一生使える術となるので、一度研究する価値はあると思います。
私が仕事で会ったある研究者は、「24時間という時間軸は自分には合わなかったので、48時間で1タームとして過ごすことにしている」と言っていました。つまり、24時間で6時間睡眠をとるのではなく、48時間のうちに12時間睡眠を連続でとることにしている、朝昼晩で食事をするのではなく、48時間のうちに食事は3回とる、それが自分の最大パフォーマンスの時間帯だ、と。
これは極端な例ですが、最大火力で自分の創作ができるのはいつどんな条件なのか、仕事や他人との交流のバランスはどのくらいが適切なのか、誰かと創作したいのか/一人きりでしたいのか、自分のパフォーマンスが最高になる条件を知り、どうやってそれを整えていくかにも目を向けると、自分に最大限に合う工夫が生み出せるのではと思います。
特に読者もいない、誰にいつ届くのかわからないものを書き続けるのはつらくて、人生に起こるほかのいろいろな楽さや刺激に目移りしますが、ほかのことではなぜか紛らわすことができない「書くこと」に私たちはなぜか魅了されています。
それが幸運なのか不運なのかわかりませんが私たちはそれに向き合う時間やそれを継続することを運命づけられているのに、それは時としてとても難しいので、いろいろと工夫して、書く生活を過ごせたらいいなと思っています。
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