悩み過ぎて動けないあなたへ贈る、孔子からのアドバイス(『論語』衛霊公篇)
今回ご紹介するのは『論語』衛霊公篇からの言葉。
私はかつて一日中何も食べず、一晩中眠らずに思索を続けたが、全くの無駄だった。書物や師から学ぶことには及ばなかった、という意味。
孔子の実体験に基づく言葉です。
つまり、何もわからない状態で悩み続けるのは意味がない、ということですね。
みなさんも「悩み続けてたら1日が過ぎてしまった!」という経験はありませんか?
私は悩みがちな性格なので、ときどきこういった失敗をしてしまいます。
せっかくの貴重な休日なのに、頭の中で色々と考えていたところ、気づいたら夜になっていてショックを受ける、という感じですね。
日常で遭遇する問題には、悩んで解決できるものと、悩んでも解決できないものがあります。
前者は解決策が見つかるので良いのですが、後者の場合は時間と精神力を浪費するだけなので注意が必要です。
まさに「益なし」ですね。
このような場面で大事なことは、早いうちに先人の知恵を借りるということ。
自分の力だけで答えを導くのはとても素晴らしいことですが、人生の時間は有限です。
1日かければ一人で問題をなんとかできる可能性もありますが、孔子が言うように書物や師匠(周囲の有識者)に聞いてみれば、もしかすると10分くらいで解決できるかもしれません。
また、調べたり周囲に相談したりすることで、そもそも解決が不可能なことが早い段階で分かることもあるでしょう。
そうすれば、余計な時間をかけずに、次の対応策を検討することができます。
特に現代にはネットがあるので、5分くらい考えて分からなければ、とりあえずネットで軽く調べてみるのがおすすめです。
自分が直面している問題というのは、すでに誰かが経験している可能性が高いもの。
仮に直接的な解決策が見つからなくても、解決の糸口やヒントが見つかると思います。
逆に何も情報が出てこなかったとしたら、その問題はレアケースなので、図書館で専門書を探すか、周囲の経験者に相談してみましょう。
最後に、問題が解決したら「どうしてその方法で問題が解決できたのか」を振り返ることが大切です。
問題が解決しただけで満足してしまうと、次に同じような状況に陥ったとき、うまく対処できない場合があるからです。
孔子も以下のように語っています。
学ぶだけで自ら思索することがなければ、物事の道理を掴むことはできない、といった意味です。
学んだあとに振り返りを行うことで、今回の学びを自分の血肉にすることができます。
基本を理解することができていれば、次に似たような問題に直面した際にも、色々と応用して対応することができるようになるでしょう。
孔子の一世代前に活躍した人物で、孔子にも大きな影響を与えた子産(しさん)という政治家がいるのですが、彼も次のような言葉を残しています。
何事も基礎がしっかりしていれば失敗することはない、という意味。
つまり、何事も基礎・基本が大事ということですね。
悩んだときこそ、先人の知恵を借りて問題に当たってみましょう。
そうすることで、問題解決にかかる時間を大幅に削減することができます。
また、解決した後の振り返りもお忘れなく。
振り返りを行うことで、応用するための基礎基本が固まります。
限られた時間をうまく使って、日常の問題に対処していきたいですね。
今回は、何もわからない状態で悩み続けるのは意味がない、という言葉をご紹介しました。
考えることは大事なことですが、知識がない状態で考え続けても、なかなか良い案は出てきません。
「学ぶ」→「考える」という順序を意識していきましょう。
それでは今回はここまで。
また次の記事でお会いしましょう👋
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